【4月13日付社説】県産品の安全評価/国際理解広めるきっかけに

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 東京電力福島第1原発事故以後、県産農林水産物は厳しい放射性物質検査を経て市場に流通している。安全性への理解が国際社会に広がることに期待したい。

 経済協力開発機構(OECD)の専門機関「OECD原子力機関(NEA)」によって、原発事故に伴う食品の安全性を国際的に評価する枠組みづくりが始まることになった。

 いわき市で開かれた第1回福島第1廃炉国際フォーラムに参加したウィリアム・マグウッドNEA事務局長が表明した。

 枠組みの詳細はこれからの議論になるが、食品に含まれる放射性物質濃度の基準値設定の前提条件や測定方法の統一などが検討される見通しだ。

 県産農林水産物をはじめ日本産の食品は、原発事故の影響から一部の国で輸入規制が続いている。

 日本政府や県、県内の生産者団体などは安全性のアピールに力を入れているが、放射性物質の基準の捉え方は各国でさまざまだ。

 食習慣や食料自給率などの違いから、基準設定の考え方や食品の区分ごとの基準値も異なる。日本の食品基準を単純に各国の基準と比較しても安全性の評価につながらない現状があるとみるべきだ。

 同氏の「自国の食品は安全だと宣言しても、他国にとっては情報の正確さを確認する方法がない」との指摘は、輸入規制を敷いている国の現実的な見方を示したものといえよう。

 NEAには、日本をはじめ31カ国が加盟している。食品の安全性を評価する新たな枠組みに全ての加盟国が合意し、加盟国以外でも国際的な共通認識の醸成につながるよう求めたい。

 検討に当たっては日本政府や県が発信する情報の正確性を科学的に説明し、これまで以上に国際理解の促進に努めることも大切だ。

 県が発表した2015年度の県産農林水産物の放射性物質検査では、野菜と果実全てが基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回った。

 野菜・果実の基準値以下は3年連続になる。加えて肉類、原乳、鶏卵、牧草・飼料作物も全ての検査で基準値超えはなかった。

 基準値を超えたのは川魚や山菜などで検体全体の0・1%の割合だ。もちろん流通はしていない。

 NEAの提案は、県産農林水産物への風評被害の現状を踏まえて世界に発信されたものだ。

 国際機関の代表や各国の専門家が集い第1原発の廃炉へ協力関係を確認したフォーラムの成果の一つといえる。本県への風評払拭(ふっしょく)のきっかけにつなげたい。