【4月15日付社説】福島大教職大学院/教育から復興支える人材を

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 東日本大震災と原発事故からの復興を教育面からけん引する人材を確実に育てていきたい。

 福島大が、来年4月の「教職大学院」開設に向けて、文部科学省に設置計画書を提出した。文科省は大学設置・学校法人審議会による審査を経て、8月末にも可否を判断する見通しだ。

 教職大学院は、複雑高度化している学校現場の課題に対応できる教員を養成するため、中央教育審議会が2006年に創設を提言した。文科省によると、08年4月の19校を手始めに全国で設置が進み、4月1日現在で国立と私立合わせて45校となった。未設置なのは本県など8県だけだ。

 学校現場は全国的に学力低下やいじめなどの問題を抱えるが、本県はさらに震災と原発事故後、児童生徒の心のケアや放射線教育など特有の課題がある。これらの課題に着実に対応し、教育現場の中核的なリーダーとしての役割を担うことができる教員を増やしていくことが急務だ。

 計画によると、入学定員は16人で、県内の現職教員を中心に募るが、学部(学類)の卒業生も受け入れる。修業年限は2年で、現職教員の再教育や、教員を目指す学生への専門的な教育を担う。

 教育課程は、教職経験や自らの教員像に合わせて、現職教員を対象にした「ミドル・リーダー養成」、現職教員と学部卒業生対象の「教育実践高度化」「特別支援教育高度化」の3コースがある。

 学校現場での実習を重視するとともに、年2回は立場の異なる者同士が意見を交わす場も設ける。学校運営の核となる中堅教員と、指導力のある新人教員を確実に育て上げ、大学院で得た知識や手法を卒業後に広められるようプログラムの充実を図ることが必要だ。

 県内特有の教育課題に対応できる教員を育てるため、コースの別なく全員が「福島の学校と教育課題」を受講する。震災と原発事故後、県内の子どもたちの多くは放射能による屋外活動への不安や避難生活を背景に、運動能力や「心の健康度」の低下、肥満傾向などの問題に直面した。震災翌年から増加傾向にある小中学生の不登校も大きな課題だ。

 放射線に対する正しい知識を養い、防災への関心を高める教育も欠かせない。他県以上に本県教員は高い資質と知識が求められる。

 県教委は先月、教職大学院の設置を福島大に要請している。県教委と福島大は教育内容や修了者の処遇について密接な連携を図り、より実践的で指導力に優れた教員の養成に力を合わせてほしい。