【4月22日付社説】産業創出の拠点/県産ロボット開発へ貢献を

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 浜通りに新たな産業をつくり出そうという福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の中核事業が動きだす。

 震災と原発事故からの産業復興の柱に位置付けられるロボット産業の拠点整備地を県が決定した。  

 整備が決まったのは南相馬市と浪江町だ。地震と津波で大きな被害を受け、原発事故に伴う避難指示が出された地域から、最先端のロボット技術や製品を発信し、復興再生の後押しにつなげたい。

 南相馬市では原町区萱浜の約50ヘクタールに、ロボットの実証試験を行うテストフィールドと、ロボット技術の研究や基礎試験を行う国際産学官共同利用施設を建設する。いずれもロボット開発の拠点となる施設だ。

 テストフィールドには大規模災害や物流に対応するロボットの実証設備が整備される。噴火や地震、土砂災害などを想定し、水没した市街地や崩落したトンネル、橋、道路などが再現された設備になり、実際の災害に近い状況での実証が可能になる。  

 小型無人機(ドローン)の滑走路も備え、付随する離着陸場を建設するのが、約10キロ離れた浪江町棚塩になる。テストフィールドとの間で、ドローンを使った物資搬送の飛行試験や操縦訓練などを行う計画だ。  

 実践的な施設や設備がそろうことになる。実際の災害対応や、山間地や過疎地域で活用が期待される物流に生かせるような、実用的で高度なロボットの開発、技術の研究を加速させたい。

 国際産学官共同利用施設は国内外の研究者や技術者が参集し、技術研究や基礎試験を行う研究棟、宿泊施設などを備える予定だ。  

 拠点整備地の選定に当たり、国や有識者でつくる県の検討委は、拠点整備に必要な用地や、ドローンの飛行空域の確保を条件に南相馬市と浪江町を選んだ。

 拠点施設は国の財政支援を受けて県が整備する。来年度までに完成する計画だ。  

 南相馬市では、地元の企業が協議会を組織し、ロボット産業を育てようという機運を盛り上げてきた。重要なのは、拠点施設で研究・開発された成果を、産業として地域に波及させることだ。  

 新たな技術を民間企業が取り入れて製品の製造・販売につなげ、雇用を生み出す循環の輪を、早く実現させたい。

 研究者や技術者が集まる拠点施設を復興のまちづくりにも生かしたい。拠点を核として地域の活気を盛り上げ、住民の帰還や地方創生にもつなげる必要がある。