【4月26日付社説】「日本遺産」認定/地域の宝と物語を生かそう

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 地域の「宝」と「物語」をフルに生かして、文化、観光、地域の振興と活性化につなげたい。

 文化庁が「日本遺産」の第2弾として19府県・19件を認定した。県内は「会津の三十三観音めぐり」(会津17市町村)と、「未来を拓(ひら)いた『一本の水路』」(郡山市、猪苗代町)の2件が認定された。

 日本遺産は、有形、無形の文化財を一つのテーマでまとめ、地域の魅力を発信する事業。昨年の第1弾は24府県で18件が認定されたが、北海道・東北はゼロだった。

 政府は新観光戦略で、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に訪日外国人旅行者を年間4千万人に倍増させる目標を設定、日本遺産を活用して地方に呼び込む構想を描いている。県内の2件も魅力を積極的にアピールして、その一翼を担いたい。

 会津17市町村は昨年に続いての再挑戦で認定を得た。「巡礼を通して観(み)た往時の会津の文化」を副題に掲げ、周遊性を持たせるなど物語性を高めたのが評価された。

 会津は、東北で最も早く仏教文化が花開き、今も平安初期から中世、近世の仏像や寺院が数多く残り「仏都会津」と呼ばれている。

 三十三観音めぐりは、会津三十三観音だけでなく、御蔵入(おくらいり)三十三観音、町廻(まちまわ)り三十三観音など各地にあり、信仰と娯楽が結び付く形で人々に受け継がれている。

 点在する文化財を一つのテーマに沿って一体的に捉え、訴求力を高めるという日本遺産の考え方に即している。分かりやすい説明や移動手段などに工夫を凝らし、「仏都会津」を売り込みたい。

 郡山市と猪苗代町が認定を受けた「物語」、「未来を拓いた『一本の水路』」は「大久保利通"最期の夢"と開拓者の軌跡」が副題。

 明治維新後、武士救済と産業の近代化を進めるため安積開拓に意欲をみせた内務卿の大久保利通だったが志半ばで暗殺される。しかし思いは「安積開拓・安積疏水開削事業」で実現、猪苗代湖の水を治め、食文化を豊かにし、水力発電による産業発展をもたらした。

 郡山市と猪苗代町は、ともに東京五輪の「ホストタウン」に登録されている。先日は会津若松市を含め3市町による「猪苗代湖観光推進連絡協議会」も発足させた。日本遺産認定をさらなる武器にして誘客に弾みをつけてほしい。

 日本遺産は、文化財を観光資源として活用するために始まった。物語性などを求めるなど外国人旅行者を意識した事業だが、地域の宝を「面」で捉え、地域のブランド力や存在感を高めるという手法はより多くの地域で応用できる。