【4月30日付社説】村の避難全て解除へ/川内復興の新しい出発点に

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 東京電力福島第1原発事故から5年が過ぎ、川内村で避難区域が全てなくなるめどが立った。

 政府は、村東部の荻、貝ノ坂両地区に残る避難指示を、6月14日に解除したい意向を村に伝えた。

 村と政府は今後、住民懇談会を開いて最終判断するが、村は政府の方針を受け入れる見通しだ。

 原発事故に伴い一時、全村避難を強いられた村が「帰村宣言」をしてからも4年半近くがたつ。

 「戻れる人から戻ろう」と村民に呼び掛ける「宣言」が、ようやく村全域に行き渡るようになる。村復興の新たな出発点にしたい。

 川内村は原発事故直後に第1原発から20キロ圏内が警戒区域、それより外側が緊急時避難準備区域、特定避難勧奨地点に指定された。

 その後段階的に避難指示が解除され、2012年3月に村役場が再開、これまでに村全体の人口約2700人の6割ほどの約1700人が村での生活に戻っている。

 村では商業施設や医療・福祉施設、学校などが再開し、路線バスも通っている。イワナ釣りや温泉を楽しめる交流施設もある。村再生に向けた動きは徐々に歩みを進めているといえよう。

 最後の避難指示が解除される両地区は、14年10月に居住制限区域から避難指示解除準備区域に再編されていた。

 政府は、放射線量が下がり生活インフラが整いつつあるとの認識を示し、避難指示解除の方針を決めた。村が独自に設けた避難指示解除を検証する委員会も「解除は妥当」との答申を出している。

 ただ両地区の19世帯のうち昨年11月から行われている準備宿泊の登録は1世帯にとどまっている。

 住民が帰還をためらったり判断できない背景として、もともと両地区では隣接する富岡町に買い物や仕事に通っている住民が多かったという事情を考慮すべきだ。

 広域的な復興をどう進めていくのかが急がれる。村と連携しながら、国や県が生活圏の再生にいっそう力を注ぐべきだ。
 村では戻ってくる若い人たちが少なく高齢化が一気に進み、村の復興は、人口減少問題に直面している状況だ。

 このため村は若い人の働く場となる企業誘致や、村外からの移住者の募集などに力を入れている。地方創生のモデルとなる取り組みを求めたい。

 きょうは村で初めてのハーフマラソン大会が開かれる日だ。県内外から約1300人がエントリーしている。村に戻った少年の発案から生まれた大会だ。村の将来を開く芽を確実に育てたい。