【5月11日付社説】病院の耐震化/急ごう命の拠点の安全確保

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 人の命を預かる病院の安全確保に最優先で取り組みたい。

 県内の病院のうち、施設内の全ての建物が、震度6強以上を想定した耐震基準を満たしているのは60.2%にとどまり、全国では下位から2番目の46位だったことが厚生労働省の調査で分かった。

 病院は災害時に、医療の拠点として、診療に関わる機能を維持し、多くの被災者を受け入れなければならないことは東日本大震災で経験済みだ。

 先月からの熊本地震でも医療機関の建物が損壊、診療に支障が出る事態が発生して、病院の早期耐震化の必要性が浮き彫りになっている。未整備の病院は耐震化に早く踏み出してほしい。

 調査は、全国の公立・民間8477病院を対象に昨年9月に行った。全ての建物で耐震基準を満たすと答えたのは69.4%。耐震化率トップは滋賀県の89.5%、最下位は京都府の58.4%だった。

 県内の対象は133病院で、耐震基準を満たすと答えたのは80病院。「一部の建物で耐震基準を満たす」は14病院で、「全ての建物に耐震性がない」は4病院だった。「耐震診断を実施していない(建物の耐震性が不明)」も4分の1を超える35病院に上った。

 一方、災害発生時に24時間体制で傷病者を受け入れる県内八つの「災害拠点病院」で耐震化を済ませたのは半数の4病院だった。

 県によると、耐震化が終わっていない拠点病院も、避難場所となる部分の耐震化は実施済みで災害時の対応に支障はないという。全ての機能が災害時にも活用できるよう整備を進めてもらいたい。

 病院の耐震化が進まない背景には、財源の確保に加え、すぐに恩恵が感じられない災害対策よりも、最新の医療機器の導入などに費用を掛けがちな病院側の事情もあるとみられる。

 大きな病院などでは、多くの入院患者の体調面や、外来患者の利便性などを考えた場合、長期間の耐震工事計画を立てることが難しいということもあるだろう。

 しかし、受診中や入院中に病院が大地震に襲われれば、患者は身体的にさらに大きな負担を強いられ、不安を募らせることになる。

 災害拠点病院の耐震化を進めるのは当然だが、国や県には他の病院についても対応が遅れている理由を調べるなどし、財政支援の在り方を含めて耐震化を促進する方策を充実させるよう求めたい。

 大地震への備えを怠ることができないのは病院だけでない。役所や学校など災害対応の拠点となる公共施設の整備も加速させたい。