【5月12日付社説】県内の経済情勢/「復興バブル」からの自立を

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 本県経済が復興から自立し、さらなる発展に向かうためには、震災から5年を過ぎた現状の景気動向を注意深く見守る必要がある。

 景気を下支えしてきた復興需要がここに来て、ピークを過ぎたとの観測が広がっている。

 日銀福島支店は先日発表した4月の県内金融経済概況で、県内の景気について「基調としては緩やかに回復している」と表現した。

 確かに各種の指標をみると、住宅投資や公共投資などは高水準で推移しており、個人消費も大型小売店の売上高や国内の旅行取扱高なども堅調さを持続している。

 こうした需要のかなりの部分を復興関連が占めているのを忘れてはならない。

 住宅投資などは、被災住宅の建て替えや避難住民の移転需要に支えられているのが現状だ。

 公共投資は、ほかの被災県から比べて本県は規模が大きく、建設関連業種などへの波及効果が期待される分野だ。

 復興の投資需要が高まれば、より多くの働き手の受け皿になり、所得環境の改善にもつながる。

 ただ、2014年度に800億円を超えた月平均の公共工事請負額が15年度は700億円に届かなかった。金額の水準は高いものの公共投資はすでに復興需要の減少が明らかだ。

 日銀福島支店の4月の景気分析では、建設関連で依然として人手不足感が強いというが、一方で、雇用者所得については、低下局面に入りつつあるとの見方だ。

 雇用者所得は全国的に上向きつつある中で、本県の場合は前年を下回る状況といい、同支店は「復興需要のピークアウトが労働市場に表れている」としている。

 日本政策金融公庫福島支店がまとめた1~3月期の県中小企業動向調査でも、復興需要のピークが過ぎた状況が読み取れる。

 業種によって従業員数が20人未満だったり、10人未満の小企業では、業況が「悪い」と感じる企業割合の方が多い。

 しかも建設、製造、小売り、サービスの各業種では、前期よりもその割合が拡大している。規模の小さい企業ほど、景気の動向に敏感で、影響をもろに受けがちだということを忘れてはならない。

 もちろん復興需要だけでなく、新興国向けの輸出や為替などの影響も県内景気の動向を左右する。

 復興需要に支えられてきた本県経済の自立に向け、景気の動向にぶれることのない足腰の強さが求められる。経済・金融政策の視点も必要だ。本県経済を「復興バブル」に終わらせてはならない。