【5月13日付社説】通常国会終盤/ 参院選へ選択肢示す論戦を

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 通常国会は6月1日の会期末まで3週間を切った。今月26、27両日には主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開かれるため、実質的な審議時間は限られている。

 夏に行われる参院選を前に、与野党が国会で主張を戦わせることが極めて重要だ。国会を早々と終局ムードにしてはならない。安倍晋三首相による衆院解散、同日選の観測もまだ消えていない。選挙での争点を明らかにし、有権者に選択肢を示すことができるような論戦を求めたい。

 残っている重要法案は、衆院の「1票の格差」を是正するための公職選挙法改正案や、熊本地震への対応で急きょ編成する2016年度補正予算案などだ。公選法は衆院小選挙区「0増6減」を柱とする与党案が成立する見通しだ。補正予算案は17日成立で与野党が合意している。

 参院選の争点は何か―。選挙が近づくにつれて与野党の対立軸が見えにくくなっているのが現状ではないか。18日の党首討論や、補正予算案を審議する予算委員会を形式的な質疑に終わらせず、さまざまな論点を取り上げるべきだ。

 安倍首相は1月の施政方針演説で「成長と分配の好循環」を表明した。従来の成長重視からの路線転換と言える。具体策としては「同一労働同一賃金」や長時間労働の見直しなどを掲げた。さらに「1億総活躍プラン」を来週まとめる予定で、保育士や介護職員の処遇改善、無利子型奨学金の大幅拡充などを盛り込む方針だ。

 これらはいずれも民進党など野党が重点を置いてきた分野だ。国民生活を重視する政策で与野党が競い合うことに異論はない。それぞれの課題について政府、与党案の妥当性、財源や実現時期などを国会論戦で詰めてもらいたい。

 選挙戦に入れば、各党の一方的なアピール合戦になってしまうのが通例だ。予算委員会などでじっくり議論したい。そのためにも野党側は対案を示す必要がある。

 経済政策「アベノミクス」の総括を忘れてはならない。安倍政権は金融緩和、財政出動、成長戦略の「三本の矢」の結果を総括しないまま、分配にも比重を置く「新三本の矢」に転換した。野党はアベノミクスの成否について追及すると同時に、対抗策となる経済政策を自らも打ち出すべきだ。

 国の根幹に関わるテーマである憲法改正も参院選の重要な論点になるだろう。参院選は改正論議を深め、有権者に判断材料を提供する良い機会となる。終盤国会で与野党が再度議論し、有権者に論点を明示してもらいたい。