【5月18日付社説】知事のアジア訪問/戦略的にトップセールスを

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 知事のトップセールスに求めたいのは、風評の払拭(ふっしょく)という負の側面の対応にとどめず、ビジネスチャンスの拡大につなげることだ。

 内堀雅雄知事は2014年11月の就任以来、初めて東南アジアを訪問する。本県の復興の取り組みや現状を発信し、県産品の輸入拡大や観光交流を呼び掛ける。

 日程は31日から6月2日まで。訪問先はタイとマレーシアの2カ国だが、マレーシアでは首都クアラルンプールで6月1、2の両日開かれる世界経済フォーラム東南アジア諸国連合(ASEAN)会合に出席する。

 世界の首脳や財界の指導者が一堂に会する世界経済フォーラム年次総会「ダボス会議」のアジア版と位置付けられる会合だ。

 アジア各国の政財界のリーダーが集う。日本の知事では初出席になるこの会合に招待された内堀知事は、今年1月のダボス会議に続き、国際会議で本県を発信する貴重な機会を得ることになる。

 内堀知事は復興の現状と、再生可能エネルギーやロボット産業といった新産業創出の取り組みを紹介したい考えだ。

 最先端の産業集積を根付かせようという本県の姿を知ってもらえれば、農業や観光業などの風評の払拭にもつながるはずだ。

 海外の人たちが抱く震災と原発事故直後の本県の印象がそのまま固定化されないためにも、重要な発信の機会になると捉えたい。

 マレーシア訪問前の31日に訪れるタイでは、内堀知事自らが首都バンコクの百貨店で、県産の果物や野菜などの農産物、日本酒を売り込む。

 また、現地の流通・小売関係者や旅行代理店、報道機関などを招いたセミナーやレセプションを開き、県産品や観光を紹介する。

 タイは県産農産物の輸出先だ。県によると、昨年度にはモモ1.3トン、リンゴ7.7トンが輸出されている。モモの輸出量は2009年度と比べて10倍に増えている。

 内堀知事は、トップセールスで輸出量や販路の拡大に一層の協力を要請する考えだ。

 タイをはじめマレーシアやシンガポールなども県産農産物を受け入れている。一方でアジアには県産農産物の輸入規制が続く国も依然としてある。両国訪問を通して、県産品への理解が世界に広がるよう求めたい。

 東南アジアは県産品の輸出先、中小企業のビジネス先として身近な地域の一つだ。近年の経済成長は著しく、本県の産業が打って出る足掛かりになるよう戦略的なセールスが必要だ。