【5月20日付社説】会津大が米に拠点/国際的視野持つ人材育成を

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 世界最先端の技術と人材が集まる環境での研究は、学生にとって貴重な経験となる。情報通信技術の発展に貢献できる人材の育成につなげたい。

 会津大が米カリフォルニア州シリコンバレーに研修拠点を開設した。学生と教員を派遣し、先端技術を研究する。学生らは、家電や自動車などさまざまな製品をインターネットでつなげて自動制御や遠隔操作する「IoT(モノのインターネット)」など、今後成長が見込まれる分野に関連した知識の習得や技術開発に取り組む。

 シリコンバレーの拠点と会津大をインターネットで結び、米国の技術者と同大の学生らが情報交換する授業も行う。

 シリコンバレーは、アップルやグーグルなど世界的なIT企業の本社や、数多くのベンチャー企業が集まる地域だ。会津大の拠点が入る施設は、多くのコンピューター関連の研究者や投資家らが、情報交換や研究成果を発表する場として利用している。施設内では、利用者らが独創的なアイデアを出し合い、日々新たなビジネスチャンスが生まれているという。

 情報通信を取り巻く技術は日進月歩だ。だからこそ、学生らが第一線の研究者から学んだり、意見を交わしたりすることは、大きな刺激になる。学生には知識や技術を身に付けるとともに、国際的な視野を育てる機会にしてほしい。

 現地で、学生らが開発したソフトウエアなどの製品が企業や投資家に認められれば、事業化も見込まれる。シリコンバレーで学生によるアイデアが事業化に結び付けば、会津大の国際的なブランド力も高まるはずだ。

 会津大は、シリコンバレーの近くにあるサンノゼ州立大、中国の大連東軟信息学院と、IT関連の人材育成について連携協定を結んでいる。今回の拠点設置を機に、会津と米国、中国のIT先進地を結んだ学術・教育ネットワーク化も視野に入れる。より多くの学生が最先端の学問を学べる環境の整備を進めたい。

 学生には、IT産業を軸とした本県復興のけん引役として期待がかかる。ただ、会津大の卒業生のうち、県内に残るのは2割程度にとどまっているのが現状だ。

 行政と連携しながら、有能な人材を地元で生かすための受け皿づくりをさらに進める必要がある。光ファイバー網など充実したIT環境と豊かな自然をアピールし、多くのIT企業の誘致に成功した徳島県神山町などの先進事例もある。本場シリコンバレーの拠点で得た知見も参考になるはずだ。