【5月21日付社説】県産水素の開発/復興と技術力のシンボルに

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 「再生可能エネルギー先駆けの地」を目指す本県のシンボルとなるようなエネルギーに育てたい。

 県と東京都は、製造時に二酸化炭素(CO2)を排出しない「CO2フリー水素」の研究開発を進めるための基本協定を結んだ。郡山市に再生可能エネルギー研究所を構える産業技術総合研究所と東京都環境公社も参加する。

 水素は、利用する時に二酸化炭素を出さない環境にやさしいエネルギーだ。しかし現在は水素をつくる段階で石油を使うケースが多くCO2が発生している。CO2が少ない「低炭素社会」は国際的な課題であり、各国で研究が進んでいる。本県がCO2フリー水素の分野でトップランナーになれるよう協定を最大限に生かしたい。

 協定は、CO2フリー水素に関わる研究開発と人材育成・交流、情報発信を柱に据えた。4者が連携・協力して、水素の製造から輸送、貯蔵、利用までの体制確立を目指す。協定は2020年度末までで、近く4者や関係企業などによる連絡会議がスタートする。

 県と産総研が研究を進めており県内企業も2社が参画している。県は協定を受けて県内企業の参加を呼び掛ける方針だ。県が目指す関連企業の集積を図るためには、より多くの県内企業に早い段階から研究開発に参加してもらい、最先端のノウハウを蓄積し、人材を含めた地力を養うことが重要だ。

 水素エネルギーの活用を巡っては、安倍晋三首相が3月、本県を「水素の一大供給拠点」とする考えを表明、「福島新エネ構想実現会議」が発足した。

 政府が18日にまとめた経済政策の指針「骨太方針」素案でも福島新エネ構想の実現が明記された。資源・エネルギー分野の成長戦略の一環としての位置付けだ。

 県は、40年をめどに県内のエネルギー需要の100%を太陽光や風力などの再生可能エネルギーで賄う目標を掲げている。水素はその一翼を担うものとして期待される。

 震災からの復興と産業再生を目指す本県としては、エネルギーの地産地消、さらには供給拠点づくりのための追い風として確実に生かしていかなければならない。

 都は、20年の東京五輪・パラリンピックを目標に低炭素社会づくりに取り組んでいる。水素利用はその一つで、燃料電池車の普及や水素ステーションの整備を進め、選手村でも活用する考えだ。

 本県の再生可能エネルギーでつくったCO2フリー水素を都に供給する体制を整えて、本県の技術力と復興を世界に示したい。