【5月24日付社説】原発避難者住宅/住まいの復興綿密に進めよ

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 原発事故に伴う避難指示の解除に向けた動きが本格化してきたのに合わせ、被災者の「住まいの復興」を急ぐ必要がある。

 復興庁のまとめによると、原発事故の避難住民向けの復興公営住宅の整備が、今年3月末の2015年度末現在で全体の24%にとどまっている。

 一方で、避難指示が出された市町村で帰還する住民向けの復興公営住宅の整備も進んでいない。

 政府は来年3月末に帰還困難区域を除いて避難指示を全て解除する方針だ。避難区域では除染や生活インフラの復旧が進むが、古里に帰るにしても、帰らないにしても、自力で家を再建することが難しい住民のために住まいの受け皿を整えることが重要だ。

 避難住民向けの復興公営住宅は、復興庁の工程表では、17年度中までに4890戸が整備されることになっている。

 15年度末までに整備されたのは1167戸。復興庁によると、本年度に整備のピークを迎え、来年3月末には新たに2239戸が完成し、全体の70%近くまで整備されるという。

 原発避難者向け復興公営住宅は、14年度から整備が始まった。工程表の年度ごとの計画は達成できる見通しだが、計画自体が入札不調や用地の確保が難航して整備が遅れた当初の経緯を踏まえて作成されたもので、住宅再建の長期化を露呈している格好だ。

 公営住宅ができるまでの間、避難住民は仮設住宅や民間の借り上げ住宅での避難生活を続けてきたことを忘れてはならない。

 避難区域を抱える自治体では、津波の被災者向けの災害公営住宅の整備が始まっているが、帰還者向けの住宅については、本年度以降の整備になる。

 地震や津波の被害に遭っていなくても、長期にわたる避難で家の再建が困難な住民に対し住宅を提供するための用意は必要だろう。

 ただ、避難指示の解除を待つ自治体で計画されているのは、本年度末までで69戸にとどまる。

 計画について調整中という自治体もあり、これから避難指示を解除しようという自治体にとってはどれほどの住民の帰還が見込めるかといった問題があるのだろう。

 住民の意向に沿って計画を立てることも大切だが、帰還の判断がつかない住民にとって、帰還後の住まいが確保されているかどうかは重要な判断材料になるはずだ。

 政府には避難指示の解除に際し、自治体などと調整し、住民の「住まいの復興」を計画的に進めるよう求めたい。