【5月25日付社説】東京五輪招致/疑惑を晴らす説明が欲しい

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 2020年東京五輪・パラリンピックの招致活動で、コンサルタントを名乗るセネガルの人物に多額の金が渡っていた疑いが出ている。その人物が友人と認めるシンガポールの会社経営者の銀行口座に東京の招致委員会から合計約2億2千万円が振り込まれていた。

 国際オリンピック委員会(IOC)委員ら五輪関係者に幅広く支持を訴えたスポーツ役員や政府が「正式な業務提携に基づく対価」「適切な商取引」と強調しても、はいそうですか、とうのみにするわけにはとてもいかない。

 なにしろ、疑惑の人物はロシア陸上選手のドーピング違反のもみ消し工作を仕掛けた疑いがあり、重大な倫理規定違反があったとして国際陸上連盟から永久追放処分になっているからだ。

 その人物の父親は当時、国際陸連の会長で、五輪開催都市を決める投票権を持つIOC委員でもあった。国際刑事警察機構(ICPO)は現在、この人物を国際手配している。

 ロシアのドーピング違反に絡む贈収賄などの疑惑を捜査しているフランスの検察当局は、もみ消し工作で使われた疑いのあるシンガポールの口座が「東京五輪招致」の名目でも送金窓口として使われていたことに、当然のことながら重大な関心を示している。IOCは捜査への全面協力を表明した。

 シンガポールの会社は、アジアや中東のIOC関係者の情報分析に定評があったと説明されている。本当にそうなのか。

 会社の口座に疑惑の人物の影がちらつく以上、コンサルタン卜契約は、この人物の父親が持っていたIOC、そして国際陸上界への大きな影響力に期待したものではなかったのか。このあたりの説明が十分になされていない。

 東京当選の直前と直後の2回に分けて振り込まれた金額の大きさには驚くばかりだ。これが五輪コンサルタント契約の相場なのか。庶民の感覚ではとても理解できない。東京は何人のコンサルタン卜と契約し、総額はいくらになったのか。ぜひ詳しく説明してほしい。

 疑惑の人物がロシアのドーピング違反もみ消し工作と、東京五輪招致に絡んで一体何をどのようにしたのか、あるいはしなかったのか。スポーツ界による司法機関への協力があって、はじめて真相が究明される。

 東京五輪開催まで4年余り。東日本大震災からの復興をアピールするための五輪を晴れやかな気持ちで迎えるためにも、招致活動に携わった関係者のフランス検察当局への全面的な協力は不可欠だ。