【5月27日付社説】伊勢志摩サミット/改革実行こそ日本の貢献だ

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 日本が8年ぶりに議長国を務める主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開幕した。

 初日の経済分野の討議で、議長の安倍晋三首相は、世界経済の持続的で力強い成長のため、先進7力国(G7)のリーダーシップ発揮を訴えた。首脳宣言には各国の事情を踏まえた機動的な財政出動と構造改革、そして金融政策の重要性が盛り込まれる見通しだ。

 安倍首相は討議の中で、中国経済の減速や原油安によって世界経済の不透明感が増していると強調し、対応を誤れば危機に陥るリスクがあると指摘した。

 しかし議長としてこの状況認識は妥当だろうか。中国の成長は鈍化しながらも小康状態にあり、原油相場は反転。世界経済への悲観的な見方は、年初よりも和らいでいると言えるからだ。

 サミット直前の安倍首相による欧州歴訪や、仙台市でのG7財務相・中央銀行総裁会議で日本の求める財政出動に足並みがそろわなかったのも、このような各国の景気認識が背景にあった。

 それにもかかわらず安倍首相が財政出動に前のめりな姿勢を崩さないのはなぜか。サミットで「お墨付き」を得て、消費税増税の再延期や新たな経済対策を打ち出したいためではないのか。それは当然、今夏の参院選や「衆参同日選」を意識したものに違いない。

 しかし、サミット議長国として各国に成長強化を求めるのであれば、日本の貢献は、極めて低い成長力を高める点にこそあるはずだ。それは景気対策による一時的な好況や選挙目当ての増税先延ばしなどでなく、社会保障や税・財政の将来不安を払拭(ふっしょく)する構造改革をおいてほかにはあるまい。

 パナマ文書によって今回焦点に急浮上した課税逃れ問題では、口座情報の交換などの着実な実施が強調された。世界の注目が集まる中で踏み込み不足は否めないが、日本にとっての利点は大きい。取り組みを加速したい。

 今回のサミットが世界の成長を重要テーマとしながら世界2位の経済規模となった中国が不在なのには違和感を覚えざるを得ない。

 中国、インドなど新興国の台頭により、G7だけで世界的な経済課題を話し合うことの限界が指摘されて久しい。新興国を加えたG20の存在感が増しているためで中国は今年、その議長国なのだ。

 サミットが南シナ海問題で中国をけん制する方向となったため、招くのが難しかった面はあるだろう。しかしアジアでのサミットであり、中国不在はかえって「G7不要論」を勢いづかせかねない。