【6月2日付社説】消費増税再延期/成長と再建どう両立させる

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 日本経済の再生のためには、いち早くデフレのリスクを解消し、成長軌道に乗せる。このことが財政再建の必須条件だ。

 こう考えると、安倍晋三首相が来年4月に予定されていた消費増税を延期するという判断に傾いたのは、理解はできる。

 安倍首相は世界経済の下ぶれリスクを強調するが、確かに足元の国内の景気は、回復の力強さに欠け、けん引役となるはずの個人消費は上向く気配が見えない。

 県内の景気も難しい局面を迎えている。公共施設や道路などのインフラ復旧、原発事故に伴う除染、大型観光企画などが一段落し、ここにきて復興需要がピークを越えたとの観測が広がっている。

 民間のとうほう地域総合研究所がまとめた直近の県内の家計動向調査では、消費マインドの低下が表れ、先行きの景気に慎重な見方が広がってきた。

 こうした状況のまま消費税を上げれば、消費マインドが一層冷え込み内需が腰折れしかねない。安倍首相がデフレに逆戻りするとの懸念から増税延期を決めたのは現実的な決断といえよう。

 ただ、消費増税の延期は2度目になる。財政再建を目指しながら社会保障の財源を確保しようという「税と社会保障の一体改革」に必要とされた増税だったはずだ。

 これからの社会保障はどうなるのか、国の財政は立ち行くのかといった将来への不安もある。

 再延期を正式表明した会見で安倍首相は、2020年度に基礎的財政収支を黒字化するという財政健全化の目標を堅持する考えを示したのは当然といえる。

 再延期を主張してきた民進党はじめ野党は、財政再建と経済成長を目指すアベノミクスの失敗を問う構えだ。ここで重視したいのは安倍首相が、アベノミクスは道半ばと自ら認めた点だ。

 その上での再延期の政治判断であるなら、政権はアベノミクスを一層強化し、経済の好循環の実現に全力を挙げなければならない。

 安倍首相は新たな経済対策を実施する考えを打ち出した。再延期までの間に自律的な成長軌道に乗せることが求められよう。

 安倍首相は再延期の決断を「新しい判断」と強調した。再延期はしないと断言してきた国民との約束とは異なる、公約違反との批判は受け止める―とし、参院選で信を問う考えを示した。

 国会は閉幕した。再延期を巡る与野党の攻防は参院選に持ち込まれる。重要なのは、経済成長と財政再建の両立に道筋をどうつけるかという議論を深めることだ。