【6月5日付社説】「18歳選挙権」本番/初の投票参加へ総仕上げを

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 「全ては福島のために」「ふくしまの復興・再生」―。候補者の写真と主張が掲載された選挙ポスターが教室や廊下に張られている。投票所を模した教室には、緊張した表情で投票箱に1票を投じる生徒たちの姿があった。

 先週、喜多方高で模擬選挙が行われた。未来の県知事を選ぶ―という想定だ。生徒たちは選挙の仕組みなどを学んだ後、大学生が演じる候補者の政見放送や選挙公報を見比べ投票を体験した。

 今月、18歳になるという3年生の男子生徒は「選挙のイメージはつかめた。参院選は投票に行きたい」と前向きに感想を話す一方、「実際の選挙では、何を基準に投票すればいいか悩むかもしれない」と戸惑いも見せた。

 選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げて実施する初めての選挙となる参院選が22日に公示される。

 今度の選挙で有権者となる県内の18、19歳は約3万8000人。政治に関心を持ち、投票につなげてもらうための取り組みの総仕上げを急がなければならない。

 県内の高校では、市民と政治との関わりを教える「主権者教育」に取り組んできた。模擬選挙はその一つで、県選管と県教委は2012年度から、希望する高校を対象に実施してきた。参院選では、その成果が問われることになる。

 模擬選挙の実施校では、学んだ内容を復習し、生徒たちに投票に向けて適切な助言をしてほしい。また、未実施校では、選挙について生徒の理解が深まるような指導を改めて望みたい。

 今回の参院選は、消費税増税の再延期の是非やアベノミクスの評価など多くの争点が挙がる。教育や雇用など若者に直結した課題も多く、本県の場合は震災と原発事故からの復興も焦点となる。

 投票を有意義なものにするために、若者たちにさまざまな情報を提供するとともに、政治を自らの問題として捉えてもらえるような取り組みも強めたい。世の中の動きを幅広い視点から伝える新聞を授業で活用するのも一手だ。

 家庭の役割も大きい。18、19歳を対象にした共同通信の世論調査では、家族と政治や選挙の話をすることが「ある」人たちは、「ない」人たちに比べて、「投票に行く」と答えた比率が約3割も高かった。政治について家族で語り合う機会をもっと増やしたい。

 若い世代の投票率の低下が続いている。初めて18、19歳が投票に臨む参院選は、より多くの若者たちに政治への意識を高めてもらう機会であり、投票率を上昇に転じさせるチャンスでもある。