【6月7日付社説】室屋さん初優勝/福島の空でさらなる高みを

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 「空のF1」とも呼ばれる小型プロペラ機による「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」の第3戦が千葉市で行われ、福島市を拠点に活動しているエアレースパイロット、室屋義秀さんが日本人として初めて優勝を果たした。

 「思いや言葉は力を持っている。(夢を)言い続ければかなうことがある」。レース後、室屋さんが語った感想は、東日本大震災と原発事故からの復興を目指す県民にたくさんの勇気と希望をもたらした。おめでとうの言葉とともに大きな拍手をおくりたい。

 室屋さんが中央大航空部でグライダーに乗り始めてから25年、福島市に拠点を移し活動を開始してから17年を経ての快挙だ。室屋さんは今季の開幕戦前、震災から5年が過ぎた本県と、自身の状況を重ね合わせ「共にチャレンジする年」と話していた。そして獲得した「操縦技術世界一」の座。有言実行で打ち立てた金字塔だ。

 奈良県出身の室屋さんにとって本県は第二の故郷となった。今季はフライトスーツの右腕に、震災からの復興の道を歩む本県への応援メッセージ「Wings for FUKUSHIMA」をつけてレースに臨んでいる。

 室屋さんは、ふくしまスカイパークで練習を重ねる一方、復興イベントや子どもたちを対象とした飛行教室などに積極的に関わっている。5月には県民の栄誉にふさわしい業績や成果を上げた個人や団体を顕彰する「第26回みんゆう県民大賞」を受賞した。

 4月には、スポーツを通して本県の魅力を発信する、県の「ふくしまスポーツアンバサダー」の第1号に任命されている。世界を転戦する中で、本県の正確な情報と魅力を発信し続けてもらいたい。

 エアレースは、最高時速370キロに達する飛行機を操り、旗門を通過しながら、その速さを競う。世界各国で年間8戦を行い、総合順位を決める。

 室屋さんは今季、決して順調だったわけではない。第1、第2戦はいずれも、パイロットと機体の安全を考えて定められた重力加速度(G)の規定値を超え失格を喫した。しかし、室屋さんはくじけなかった。不屈の精神と信念があってこそ成し得た母国日本での初勝利である。

 室屋さんは第3戦での優勝で、年間総合順位は11位から4位に上がった。今季は残りあと5戦。次の第4戦はハンガリーのブダペストで7月に行われる。福島の空でさらに腕に磨きを掛け、年間総合優勝の栄冠を勝ち取ってほしい。