【6月10日付社説】福島市中核市構想/県都の未来開くステップに

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 昨年暮れ、福島市の小林香市長が、2017年4月を目標にしていた中核市への移行時期の先送りを表明して以来、足踏み状態だった移行計画が動きだした。

 福島市が「中核市移行基本方針」素案を市議会特別委員会に示した。方針には、移行に向けての基本的な考え方が盛り込まれた。県都の未来に向けて中核市になることの意義を市民にしっかり説明し、理解と協力を得ながら着実に移行を目指すことが重要だ。

 中核市は、一定の規模や能力を持つ都市に事務権限を移し、できる限り住民の身近なところで行政ができるようにする制度。仙台市など政令指定都市に次ぐ人口規模の全国47市が指定されている。

 東北では、県内の郡山、いわき市のほか、青森、秋田、盛岡市が既に中核市になっている。昨年4月からの中核市の人口要件緩和を踏まえて福島、山形、八戸市が移行を目指している。

 福島市は中核市のメリットをこう説明する。県と市が2段階で行っている事務手続きを市が一元的に行うことで処理が迅速化し、サービスが充実する。都市計画の権限が移譲されて地域に合った個性あるまちづくりができるようになり、知名度も向上して交流人口の拡大が期待できるというものだ。

 デメリットはないのか。中核市になれば、権限が移譲され仕事が増えることで費用も増え、職員も新たに72人が必要になる。また保健所の設置が義務付けられているため施設も整備する必要がある。

 これに対して市は、国の交付税が増えるため、移行により年間約1000万円の黒字になると試算。保健所整備などの初期経費は既存施設の有効活用などでできる限り圧縮すると説明している。いずれにしても最少の人員と費用で、最大の効果が得られるよう計画を煮詰めていかなければならない。

 先行自治体では保健所の専門職員などの確保も課題となった。職員の研修には1~2年がかかるとされる。中核市への移行時期をはっきり定めなければ職員確保や研修のめども立てにくいだろう。

 市は今月から市内18カ所で行われる自治振興協議会で中核市移行の目的と効果を説明する。こうした機会をフルに生かして、市民の関心を高め、理解を深めてもらうことが大切だ。

 人口減と高齢化が進む中、中核市になることで、国が地方創生の一環として打ち出している「連携中枢都市圏」の中心市になるという姿も現実味を帯びるだろう。中核市への移行準備期間を福島市の未来を思い描く機会にもしたい。