【6月12日付社説】県の政府予算対策/風化防ぐ働きかけを強めよ

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 県は来年度の政府予算対策をスタートさせた。5年3カ月を過ぎた震災と原発事故を風化させないよう、「霞が関」への働きかけを強めることが重要だ。

 「霞が関」とは、東京・霞が関に集中している中央省庁の総称として使われるほか、官僚の代名詞としても使われる言葉だ。

 震災復興は、復興庁が被災地の要望を一元的に受け、省庁の縦割りを廃して政策決定するとされているが、実際には、個別政策の立案や予算化は、関係する省庁が行っているのが現状だ。

 そのため、各省庁が来年度予算の概算要求をまとめる夏を前にして、県が要望項目を省庁別に直接届ける活動が必要になる構図は変わっていない。

 さらに「霞が関」は異動時期に差し掛かる。被災地からすれば、省庁の担当者が代わると、政策の緊急性や必要性が後任に受け継がれるのか、優先度が変わらないのかといった懸念が募る。

 後任の担当者に、政策の重要性を一から説明し直さなければならないといった声も漏れ聞く。

 震災から時間がたつにつれ、そうした被災地の心配が高まっている。それを裏付けるように内堀雅雄知事は政府への要望項目を決めた会議で、幹部に「県民の思いを背負っているとの迫力を持ちしっかり形にしてほしい」と語った。

 「霞が関」で風化が進む危機感の表れを示したともとれよう。被災地の要望活動は、何も予算を引き出そうというだけのものではない。復興のさらなる加速をアピールし続けていくことが重要だ。

 県の要望は、避難地域や浜通りの復興再生、原発事故への対応、県民の健康を守る取り組みなどの分野ごとに37項目に絞られた。

 避難区域を抱えた市町村では今後、避難指示の解除が進む。医療の提供体制の再構築や教育環境の整備、事業や営農再開への支援などの施策が急がれる。

 政府が夏までに方針を示すとしている帰還困難区域の見直しについては、地元自治体との慎重な協議が必要だ。

 浜通りの産業再生に向けた福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の具現化に向け、個別の事業構想を形に表していくことが求められる。

 2020年の東京五輪・パラリンピック開催を見据え、風評対策を強化しなければならない。

 こうした復興政策の重要性は、要望する側が頭を下げてお願いするようなものではないはずだ。復興に向け国は、前面に立つ姿勢を崩してはならない。