【6月18日付社説】ヒラメ漁再開へ/「常磐もの」再興への弾みに 

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 本県沖で漁獲されたヒラメは「常磐もの」と称される県産魚介類の代表格だ。そのヒラメが食卓に帰ってくる。県産の海産物ブランドの復興に弾みをつけたい。

 政府は県産ヒラメについて、東京電力福島第1原発事故の影響に伴う出荷停止指示を解除した。県漁連と県などは今後、海域や漁法などを話し合い、9月ごろに試験操業を始める見通しだ。

 「潮目の海」といわれる本県沖は、暖流と寒流が混ざり合う豊かな漁場だ。特にヒラメは身が締まり、脂も適度に乗っているため、震災前は高値で取引されていた。

 漁獲量も青森県、北海道に次いで全国3位を誇り、県や県漁連などは本県を代表する食材11品目を集めた「ふくしまイレブン」の一つとしてブランド化を進めていた。

 ヒラメの出荷停止指示が解除されたのは、放射性物質検査で国の食品基準値(1キロ当たり100ベクレル)を安定して下回っていることが確認されたためだ。2014年3月10日からこれまでに検査用で取ったヒラメは全て基準値未満で、平均値は同9ベクレル程度と大幅に下回っている。

 市場での流通に向けては、安全性をしっかり確保することが何より大切だ。その上で、ブランド力をさらに向上させていくための取り組みも求められる。

 ヒラメは震災前、首都圏のすし店や料亭などで取り扱われることが多かった。漁の再開後は、漁業関係者や行政が協力して各地の市場を回るなどして、安全性とおいしさを積極的に発信してほしい。

 いわき市では「常磐もの」を広くPRするため、市内産の水産物や加工品にオリジナルのロゴマークを付けて販売を始めた。こうした取り組みをさらに広げていくことも必要だろう。

 原発事故で漁業の自粛を余儀なくされた本県沖で、試験操業が始まってから22日で丸4年となる。ことしはアサリやホッキ貝など震災前に全国有数の水揚げ量を誇った魚介類の試験操業も始まり、漁業再生への動きが加速している。

 さらに県は、高級魚として知られるホシガレイの操業再開を見据え、稚魚の放流を始めている。

 津波で被災した県水産種苗研究所と栽培漁業センターは、大熊町から相馬市に移転し、ヒラメの稚魚やアワビの稚貝などを生産する計画だ。18年4月の利用開始に向けて、着実に作業を進めてほしい。

 漁業の再生は、震災による被害が大きかった浜通りの復興に直結する。本格操業につなげるため、県産魚介類をより多くの人に食べてもらう取り組みを強めたい。