【6月24日付社説】炉心溶融「隠蔽」/幕引き急がず徹底解明せよ

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 曖昧なままの幕引きでは県民の理解は到底得られまい。徹底解明こそ再発防止の第一歩であることを認識すべきだ。

 東京電力福島第1原発事故の発生当初、当時の清水正孝社長が「炉心溶融という言葉を使うな」と指示した問題を受けて、広瀬直己社長は「社会の皆さまの立場に立てば隠蔽(いんぺい)と捉えられるのは当然だ」と述べて隠蔽を認め、謝罪した。

 東電の隠蔽体質を表す事案はこれまでも数え切れないほどある。過去には、原発の自主点検記録を不正に記載した「トラブル隠し」があり、原発事故後も汚染雨水の海洋流出を把握しながら半年以上公表しなかった問題などがある。繰り返される情報隠しに対して県民は厳しい目を向け続けていることを忘れてはならない。

 同社が原因調査を依頼していた第三者検証委員会の報告書は、清水氏の指示の背景には、当時の官邸からの要請があったと推認されると認定した。

 しかし、官邸側の関係者に調査を実施していないため、官邸の誰が、どのように指示したのか、具体的な内容は明らかになっていない。しかも当時の首相だった菅直人氏も、官房長官だった枝野幸男氏も強く関与を否定している。

 官邸側に対する調査について、東電は「限界がある」として独自の調査をこれ以上行わない考えを示している。今後、東電が新潟県と設置する検証委員会でも、この問題が検証されるかは不透明だ。

 「炉心溶融」をめぐっては、事故から5年間、判断基準を記したマニュアルを「見過ごしていた」ことについても未解明な部分がある。強い権限を持つ調査組織を設けるなどして徹底的に客観的な調査を尽くす必要がある。

 東電は、今回の問題を受けて再発防止策を発表した。緊急時に用語の使い方を判断する責任者を置いたり、炉心損傷を想定した通報訓練を充実したりすることなどを掲げている。

 東電はこれまで、公表遅れが発覚するたびに再発防止策をまとめ情報公開を約束してきた。しかし同じような事案が繰り返されてきた。今回示された再発防止策で、「隠蔽体質」は果たして改善されるのか。東電には社内全体で問題意識を共有し、再発を防ぐ取り組みの徹底をあらためて求めたい。

 第1原発の廃炉には30~40年という長い年月がかかるとされる。東電には、この廃炉を成し遂げるためには、根強く残る県民の不信感を拭い、信頼関係を再構築することが欠かせないことを銘記してもらいたい。