【6月26日付社説】保育士不足/働き続けられる環境整備を

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 保育士の待遇を改善することで人手不足を解消し、子育て環境の充実につなげたい。

 保育士不足が深刻化している。福島労働局によると、2015年度の県内の保育士の有効求人倍率は1.82倍に上り、震災のあった11年度の3倍以上に達した。本年度も売り手市場が続き、4月は求人数541人に対して求職者は280人で、倍率は1.93倍だった。

 県によると、保育所や認定こども園など、県内の保育施設は4月1日現在で397カ所ある。前年比で44カ所増えているが、現場では人手が足りず、保育士の"争奪戦"が起きているのが現状だ。休園したり、入所定員を減らして対応している施設もある。

 女性の社会進出を後押しするには、待機児童をなくし、子どもを安心して預けられる環境の整備が欠かせない。そのためには保育士の確保が喫緊の課題だ。

 全国的に見て、短大などの保育士養成校を卒業した人のうち、半数近くが保育士以外の職に就いている。早期離職も多い。幼児の命を預かるという責任の重さの割に、賃金が全職種の平均に比べて10万円以上も低いといったことなどが要因として指摘されている。

 保育士を増やすには、待遇や職場環境の改善に最優先で取り組まなければならない。賃金を上げるとともに残業の削減や休日を確実に取得できるようにするなど、保育士が働き続けることができる職場にしていくことが求められる。

 それには施設の努力だけでは限界がある。国や県など行政が主導し賃金改善やキャリアアップの仕組みづくりを進める必要がある。

 保育士の資格を持っていても結婚や育児で現場を離れ、そのまま仕事に就いていない「潜在保育士」も多い。保育の現場で再び活躍してもらうための支援も必要だ。

 県と郡山市はそれぞれ福島、郡山の両市に、潜在保育士の再就職を支援する「保育士・保育所支援センター」を設置し、再就職先の紹介や、復職に向けたセミナーなどを行っている。さらに周知を図り、人材の掘り起こしを進めたい。

 再就職を希望していても、子育て中のためフルタイムの仕事はできないという人もいる。求人側は、フレックス制や短時間勤務など柔軟な勤務態勢をつくり、人材確保につなげてほしい。

 今回の参院選では、多くの政党が保育士の待遇改善を公約に掲げている。子どもを産み育てる環境を充実させることは少子化対策の柱でもある。その基盤を担う保育士が意欲を失うことなく活躍できる社会にしていくことが大切だ。