【6月28日付社説】アベノミクス 参院選/地方への処方箋示し論戦を

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 継続か、転換か―。安倍晋三政権が約3年半にわたり進めてきた経済政策「アベノミクス」に対する評価は参院選の大きな争点だ。

 英国の欧州連合(EU)からの離脱決定を受けて、弱さの続く日本経済の先行き不透明感が強まっている。与野党は経済再生への具体策をしっかり示して有権者の判断を仰ぐべきだ。

 「やるべきことは、この道を力強く前に進むことだ」。公示日の午後、JR郡山駅前で演説した安倍首相は、賃上げや求人倍率の上昇など成果を強調し、アベノミクスの推進を改めて宣言した。

 安倍政権が掲げている目標は、デフレ脱却、実質成長2%、名目国内総生産(GDP)600兆円の達成などだ。

 確かに2012年末の政権発足以降、大胆な金融緩和などで円安が進み、企業業績が好転して株価を押し上げた。しかし恩恵を受けているのは大企業などが中心で、中小企業が多い本県など地方では波及効果を実感できていない。

 それは本紙の参院選世論調査で、安倍内閣の経済政策について「評価しない」が50%と、「評価する」の34%を上回ったことにも表れている。首相が「道半ば」と認めるアベノミクスをどう進め、地方にも波及させていくのか。処方箋を詳しく示してほしい。

 最大野党の民進党はアベノミクスを「失敗」と断じ、格差是正など分配政策を重視する「分配と成長の両立」を打ち出している。ただ安倍政権も「経済成長」一本やりから事実上転換して、「1億総活躍プラン」などで分配政策にも配慮を示している。

 民進党の主張は、政権与党が掲げる「成長と分配の好循環」とどう違うのか。有権者に分かりやすく説明する努力が必要だ。

 消費税率10%への引き上げ延期を踏まえて、各政党が示している社会保障などの財源確保策は具体性に欠いている。

 日本に残された時間は少ない。あと10年ほどで団塊世代が75歳以上になり、高齢化と人口減少が一段と加速する。年金や医療、介護に必要なお金がさらに増えるのは確実だが、不足分を国の借金で補う今のやり方は限界だ。

 聞こえがいい政策目標を並べるだけで、財源の裏付けや実現への道筋を示さなければ、公約とは呼べず「口約束」でしかない。

 選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられて初めての参院選だ。将来世代にも胸を張って説明できる経済政策なのか。与野党ともに長期的な展望を示して、論戦を繰り広げてもらいたい。