【6月29日付社説】震災復興 参院選/加速化へ具体策を論じ合え

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 今回の参院選は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から4度目、安倍晋三政権にとっては復興政策に対する評価を受ける3度目の国政選挙だ。復興を加速させるために何が必要なのか。各党、候補者は具体策を示して、論戦を尽くすべきだ。

 避難指示解除準備、居住制限両区域の避難指示は今月、葛尾、川内両村の一部で解除された。7月に南相馬市、来年3月に飯舘村でも解除される。第1原発が立地する大熊町でも8月に解除を見据えた特例宿泊が行われる。

 避難区域の復興策は、除染など原発事故からの復旧が中心だった。避難指示解除が進む中で今後、住まいや生業など生活基盤の再生という、避難者が古里に戻って暮らすための環境をいかに整えるかに課題が移る。

 昨年9月に避難指示が解除された楢葉町では、帰還住民が震災前の7%にとどまる。双葉郡の事業所の求人に対する充足率は13%と低く、事業を再開しても働き手がいない。先行して帰還した住民や避難者のニーズを把握した対策が急がれる。

 自民、民進両党の県連は公示前に発表した参院選の「県版公約」で、いずれも復興の加速化を最優先政策に掲げた。中間貯蔵施設の早期整備や県内原発全10基の廃炉、再生可能エネルギーの開発についても両県連が訴えている。

 また、自民県連は本年度から2020年度までの「復興・創生期間」の財源確保や被災者の自立支援などの政策を挙げる。民進県連は復興拠点の用地を取得しやすくすることなどを念頭に福島復興再生特措法の見直しを盛り込んだ。

 ただ、両県連が県版公約に示した復興政策に大きな違いは見えにくい。より踏み込んだ内容を分かりやすく示すことが大切だ。

 本紙の参院選世論調査で、投票の際に重視する政策を聞いたところ「震災復興」は8%だった。3年前の前回参院選の32%から大幅に低下した。前回調査では、40代以上は「震災復興」をトップに挙げたが、今回は40代以上の関心が「社会保障」や「景気・雇用」に移った。一方、18~29歳は31%、30代は17%と、若い世代ほど復興を挙げる人が多かった。

 第1原発の廃炉には30~40年かかるとされる。そのため、復興を担っていくという若者たちの意識が高まっているとも受け取れる。帰還困難区域の除染や風評対策、産業再生など国の責任で取り組まなければならない課題は山積する。候補者には若い世代が将来を見通せるような議論を求めたい。