【7月2日付社説】猪苗代町と大学連携/次世代育成の教育モデルに

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 学校教育や生涯学習を充実させることは、少子高齢化や人口減少に歯止めをかける地方創生への有効な手だてとなる。特色ある教育を受けることができる町づくりを進め、地域の力を高めたい。

 猪苗代町と東京学芸大(東京都)は、教育を柱とした地域振興を目指して連携協定を結んだ。同大が子どもたちの学力・体力の向上を支援したり、教員の資質向上のための人的交流を行う。

 同大は、教育学部に特化した国立大で、研究成果を社会に還元するための地域連携に力を入れている。首都圏以外では岩手県二戸市や滋賀県湖南市と連携協定を結んでおり猪苗代町は3例目。これまでのノウハウを生かして子どもの学力向上を図る一方で、地方が抱える教育の課題などについての研究に取り組む。

 協定は、ゼビオホールディングス(郡山市)が立ち上げた「ふくしまこどもプロジェクト(仮称)」の一環で、東京学芸大と共同研究している凸版印刷(東京都)やディー・エヌ・エー(同)にも参加を呼び掛け、産学官が協力して事業を進める。

 計画によると、大学生がボランティアで町内の小学生に勉強を教えたり、大学生の教育実習を町が受け入れる。幼児教育の共同研究に取り組んだり、同町の幼小中の教職員を同大での研修に派遣することも盛り込んだ。

 連携によって教育の質が高まれば、子どもたちの学力向上も期待できる。子どもたちが意欲を持って学習に向き合えるような連携プログラムを作ることが大切だ。

 町教委は、学校教育だけではなく、生涯学習の推進にも連携を役立てる考えだ。大学の教員を講師に招いて一般向けの公開講座を開くことなどを検討する。政治や経済、芸術など幅広い分野の講座を企画し、知識と生きがいの双方を得ることができるような機会を増やしたい。

 協定に参加する企業は、スポーツや情報通信など、それぞれの事業に関連した分野で教育活動を支援する。遊びと学びを融合させたイベントなどを計画しているという。民間企業の視点を生かして、発想力や表現力の豊かな人材育成につなげることが重要だ。

 同町は環境教育やグリーンツーリズムに力を入れており、多くの学校や団体が教育旅行に訪れている。震災と原発事故の影響で一時は大きく減少したが、回復基調にある。産学官が知恵を出し合い教育旅行のさらなる誘致を目指してほしい。そして連携を次世代育成と町づくりのモデルにしたい。