【7月8日付社説】震災関連死/「地域の力」で支え合いたい 

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 東日本大震災と原発事故の避難が原因となって死亡する「震災関連死」に一刻も早く歯止めをかけなければならない。

 復興庁は震災関連死として認定された人が、3月末時点で10都県の3472人に上ると発表した。昨年9月末時点の前回集計より65人増えた。本県は59人増の2038人で、復興庁の集計では初めて2000人を超えた。

 震災と原発事故の発生から5年余りが過ぎ、震災関連死の認定者数は減少傾向にあるが、関連死の認定者は続いている。昨年9月10日からの半年間に亡くなった5人が認定された。避難が長引けば長引くほど避難者の心と体の負担が増えていくことを銘記したい。

 「仮設住宅での暮らしの方が良かった」。浪江町社会福祉協議会の相談員が、復興公営住宅に引っ越した避難者からの訪問依頼を受けて公営住宅を訪ねると、そう切り出された。新しい場所での生活になじめないのだという。

 原発事故から6年目に入り、復興・災害公営住宅や新しく購入した家に移る避難者が増えている。震災関連死は、転居を繰り返すことによる疲労やストレスで、持病を悪化させたり体調を崩したりするケースが多い。

 一方で、ピーク時には約3万3000人いた仮設住宅の入居者は約1万6000人(6月末時点)まで減少し、場所によっては、空き室も目立ってきた。震災直後から共に避難生活を送ってきた人たちが仮設住宅を離れていくことで、仮設に残った避難者は孤立化し、引きこもりがちになることが懸念されている。

 被災者の精神的な支援に取り組んでいる「ふくしま心のケアセンター」は、復興が進むにつれて、避難者の暮らしに違いが生じ、それとともに、一人一人の悩みやストレスも多様化してきていることを指摘する。

 避難者に対しては、社会福祉協議会の生活支援相談員や心のケアセンターのスタッフ、自治体の保健師らが訪問したり、窓口で相談に乗ったりするなどして対応している。時間の経過とともに変化する避難者の生活や精神状態に即したケアが一層求められる。

 震災関連死を防ぐためには、転居先などでの新たなコミュニティーづくりが必要だ。県は、復興公営住宅の団地ごとに、コミュニティー交流員を置いて自治会づくりを支援しているが、復興公営住宅以外に引っ越した避難者も多い。

 新しい土地での生活を始める人たちを地域の力で支え、自立を後押ししていくことが重要だ。