【7月11日付社説】与党改選過半数 参院選/おごらず謙虚に政権運営を

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 第24回参院選は自民、公明両党の与党が改選121議席の過半数を制して勝利した。

 与党の勝因は有権者が「政治の安定」と着実な経済対策を求めたことではないか。有権者の思いを真摯(しんし)に受け止め、謙虚な政権運営と政策の確実な遂行を望みたい。

 安倍晋三首相は消費税再増税の先送りで「国民の信を問う」と表明、選挙戦では経済政策「アベノミクス」の推進を訴えた。安倍政権は2012年末の政権奪回以降、国政選挙の連勝で衆参両院での基盤を強化、「安倍一強体制」がさらに続くことになる。

 しかし選挙は「白紙委任」ではない。欧州連合(EU)離脱を決めた英国の国民投票などの影響で円高・株安が進むなど経済の先行きは不透明になっている。

 首相自らが「道半ば」と認めるようにアベノミクスの効果は本県など地方や中小企業には及んでいない。処方箋を示して立て直し、着実な成果を上げる責任がある。

 消費税の増税分を財源に予定していた社会保障の充実策は一部を見送る方針だ。少子高齢化への対応は待ったなしだ。国民の不安を解消するために具体的な対策を早急に講じるべきだ。

 焦点となっていた憲法改正案の発議に必要な参院の「3分の2以上」の議席については、改憲に前向きな自民など4党と無所属・諸派議員で占める結果となった。

 しかし安倍首相は選挙遊説では改憲に言及せず、争点化を図ろうとする野党と論戦はかみ合わなかった。今回の選挙で改憲論議推進への信任を得たとは言えない。

 民進、共産など野党4党は、本県はじめ32の改選1人区で候補者を一本化したが、与党の議席増を阻むことはできなかった。

 なぜ有権者の選択肢となる対抗軸を全体として示せなかったのかを検証すべきだ。「政権選択」となる次の衆院選に向けた野党共闘の在り方も問われる。

 前回13年と同じく改選数が2から1に減った福島選挙区は、民進党現職の増子輝彦氏が、自民党現職で法相の岩城光英氏との事実上の一騎打ちを制して当選した。沖縄選挙区とともに現職2閣僚が議席を失う結果となった。

 本県は東日本大震災と原発事故からの復興という課題を背負う。復興に与党、野党の区別はない。国が前面に立ち、復興の加速に全力を尽くしてもらいたい。震災の記憶を風化させてはならない。

 今回の参院選は、70年ぶりの制度改革で選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられて初めての国政選挙となり、18、19歳が新たに有権者に加わった。

 高校生らに対する主権者教育の充実をはじめ、有権者の意識向上を図る取り組みを続けたい。