【7月17日付社説】海外の誤解と偏見/情報発信強め正しい理解を

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 県内の状況が正しく伝えられなければ、海外からの誘客も、海外への農産物輸出も進まない。

 東京電力福島第1原発事故の帰還困難区域で、外国人写真家が民家や店舗の中などを撮影し、会員制交流サイト「フェイスブック」で公開した。

 撮影したのはマレーシア人の写真家。「福島の立ち入り禁止区域の、今まで見たことのない写真」と書いており、賛意を示す「いいね!」が相当数に上っている。CNNなど海外メディアも紹介し、高い関心を集めているという。

 写真家は帰還困難区域に許可なく立ち入り無断で撮影したものとみられる。確かに帰還困難区域は震災直後のままの状態が続くが、それは写真家が「今まで見たことがない」というような状況ではないはずだ。

 県全体の面積に占める帰還困難区域の割合は2.45%。これに避難指示解除準備区域と居住制限区域を含めた避難区域の割合は5.27%(7月15日現在)だ。一部分を撮影した写真を見て、それが全てであるような理解が海外でなされているとしたら、風評の払拭(ふっしょく)などはおぼつかない。

 本県、さらには日本に対する海外の誤解や偏見は残ったままだ。原発事故を理由にした日本からの農林水産物の輸入規制は36カ国・地域で継続中で、今年2月には震災からの復興や東北をPRするため、日本の外務省がソウルで予定していたイベントが開催当日に中止になったこともあった。

 訪日外国人が急増する中、本県など東北地方では外国人旅行者の数が伸び悩んでいる。観光庁によると、2015年の外国人延べ宿泊者数は、震災前の2010年と比べ、全国で2倍以上に増えているのに対して、東北は1%しか伸びていない。風評はまだ収まっていないのが現状だ。

 誤解や偏見をなくすためには、正しい情報を積極的に発信していくことが必要だ。県は、県内の現状を伝えるため、日本駐在外交団へのセミナーや、外国人留学生のスタディーツアーなどを行っているが、取り組みをさらに強化すべきだ。ウェブサイトの海外向けページも充実させたい。

 今回の写真の件に関しては、県内に住む外国人からも懸念の声が上がる。県内在住外国人にも協力を求め、海外に向けて正しい情報を発信してもらってはどうか。

 本県に対する理解をより深めてもらうためには、行政、民間の壁を取り払って総力を結集し、海外の国や人々と双方向で情報交換を図っていくことが重要だ。