【7月20日付社説】福島大の新学類/農業の未来築く人材育成を

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 農業が抱える課題に確実に対応して、本県だけでなく、日本の農業の未来を築き、支える人材を一人でも多く育ててほしい。

 福島大は、農学系学類の設置場所について福島市の金谷川キャンパス内とする―と発表した。運営経費や学生の利便性などを総合的に判断した。2019(平成31)年春の開設を目指す。

 設置を巡っては県内8地域が誘致に名乗りを上げていた。福島大は、新学類の開設に合わせて、郡山市に「農学研究・実践活動センター(仮)」を設置する方針だ。県中央部で交通の便が良い郡山市の利点を生かし、県全域を対象にした実践型教育に役立てる。同センターを活用し、今回誘致が実らなかった自治体の期待にも最大限応えてもらいたい。

 農林水産省の「2015年農林業センサス」によると、本県の農業就業人口は7万7435人で、5年前の前回に比べて29%減少した。これは原発事故で調査できなかった避難区域を除いた数字だが、仮に同区域の全農家が農業を続けているとしても8万4732人で約24%の減少となる。いずれにしても農業就業人口は10万人の大台を割り込む状況であり、本県農業の再構築と、それを実現するための人材育成が急務だ。

 日本の農業は、高齢化や担い手不足、産地間競争の激化、国際化への対応など課題は多い。さらに本県は東日本大震災と原発事故以降、放射性物質対策や風評対策など特有の課題を抱えている。

 このため、県内の農業団体や経済界などからは、福島大に農業の復興と再生を担う人材の養成を求める声が寄せられていた。新たに設置される農学系学類は、これらの課題や声に十分応えることができるような教育研究組織にすることが肝心だ。

 農業は、生産から流通、販売までを手掛ける「6次化」の取り組みや観光産業との融合など、新たな付加価値を創造する動きが進んでいる。そして生物化学やバイオ技術の導入もあり、若者が農業を職業として選択する可能性も広がっている。

 本県は、農業県を標ぼうしながら東北6県で唯一農学系学部がなく、農業関係で進学を目指す高校生たちは県外の大学を選ばざるを得なかった。福島大への農学系学類の設置は人口流出を減らすという観点からも意義がある。

 開設時期について、福島大は当初、18年春を目指していたが、1年遅れとなる見通しだ。周到な準備を進めて、より充実した魅力のある農学系学類にしてほしい。