【7月22日付社説】食品の輸入規制/解除に向け連携の輪広げよ

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 東京電力福島第1原発の事故に伴う国産農林水産物や加工食品などの輸入規制解除に向けて、より広範な協力体制をつくりたい。

 本県と茨城、栃木、群馬、新潟の知事でつくる「北関東磐越5県知事会議」が、食品の輸入規制解除を目指して連携を強化することで合意した。東アジアを中心に風評の払拭(ふっしょく)に取り組み、各国への働き掛けを強める。

 日本の農産物や食品は、原発事故後に設けられた放射性物質に関する基準に従って、安全性が厳しくチェックされている。

 この取り組みは国際的に認知されつつあり、輸入規制は事故後の約50カ国・地域から徐々に減っているが、今なお36カ国・地域が規制を継続中なのが実情だ。

 本県産をはじめ日本の食品は、世界で一番厳しい検査を経て出荷されており、汚染された食品が出回るおそれなどないことを周知する努力があらためて求められる。

 北関東磐越5県は、知事会議での合意を踏まえ、各県の人脈や流通ルートを活用して、中国や台湾、香港などで県産食品の安全性をアピールするほか、政府に対し解除に向けた交渉を各国と進めるよう求める方針だ。

 規制解除に向けて、自治体が活動を強化する動きは、今回の北関東磐越5県だけでなく、北海道東北知事会にもある。被災県であり、両知事会のメンバーである本県がしっかりと橋渡し役を務めて、取り組みを連動させていくことが重要だ。

 規制解除に向けた自治体連携では今年3月、本県と群馬、栃木、茨城、千葉県のトップ級が台湾を訪れ、新政府を担う台湾民進党に対し要請活動を行った例がある。

 台湾の駐日大使にあたる台北駐日経済文化代表処(東京)代表の謝長廷氏は6月初め、日本メディアとの会見で、本県など日本食品の輸入規制に関し「汚染がないと分かれば解除に向かうだろう」と蔡英文政権が解除作業を進めていることを示唆した。

 謝氏はその後、台湾メディアに対して「年末には結論が出るだろう」とも語っている。規制が解除されるかどうか、不透明感が残るが、3月の本県などの要請活動を反映しての動きともとれる。

 各国の規制の背景には、日本産食品の安全性に対する「国民の理解」があるかどうかも深く関係している。客観的で正確な情報発信に努め、各国政府だけでなく国民の理解を得る努力を重ねることが求められる。そのためには外交の当事者である日本政府がこれまで以上に積極的に動く必要がある。