【7月27日付社説】障害者施設殺傷事件/真相究め再発防ぐ手だてを

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 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者が次々に刃物で襲われ、19人が死亡、26人が重軽傷を負った。殺人事件としては「戦後最悪」とされ、現場近くに住む26歳の男が逮捕された。

 男は施設の元職員で、2月に「障害者を殺す」と施設関係者に話したり、衆院議長に入所者殺害を示唆する手紙を渡そうとしたりして警察の事情聴取を受け、措置入院にもなったという。

 何か打てる手はなかったか。男はかつて被害者らと直接接していた可能性もあり、当時の仕事ぶりや施設を辞めた事情、さらに最近の言動なども含めて犯行までの経緯を詳細に解明し、しっかり検証する必要がある。

 やまゆり園は常時介助の必要な知的障害者が利用しており、入所者は6月末時点で19~75歳の149人。在園年数の長い人が多い。高齢化が進む中、支援の必要性の度合いを示す6段階の「障害支援区分」で最も高い区分6が116人。食事や入浴、排せつなど介助を受け暮らしている。

 常勤職員は約140人で、男は2012年12月から非常勤職員として勤務。翌年4月から常勤職員になり、入所者らの生活支援などに当たっていたが、今年2月に「自己都合」で退職した。

 そのころ衆院議長公邸を訪れ「議長に手紙を渡したい」と言ったという。その後に「他害の恐れがある」との理由から、3月まで措置入院となった。

 手紙は障害者殺害を示唆する内容で「職員は傷つけずに抹殺する」「職員の少ない夜勤に決行致します」などと書かれていた。結果的に、その通り実行したことになる。手紙をほかの言動とも突き合わせていたら、何らかの予兆を捉えることができたかもしれないと思うと悔やまれる。

 もう一つ、気になるのは「障害者なんていなくなってしまえばいい」という供述だ。施設の多くは人手不足や職員の待遇改善といった問題を抱えている。そうした中で、男は一時、入所者らの生活支援などに従事していた。夜勤もあり、かなり重労働だったろう。それによってたまった不満やストレスを抑え切れなくなり、爆発させたのかもしれない。ありとあらゆることを調べ上げ、今後の対策に生かしていくことが求められる。

 事件を受けて本県では、県が社会福祉法人に対して「安全確保の徹底」を通知した。職員が少ない夜間の見回りや施錠など防犯対策の点検、見直しはもちろんだが、入所者の安全と安心のために考えられる限りの手を尽くすベきだ。