【7月30日付社説】環境創造センター/「美しい福島」回復へ全力を

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 東京電力福島第1原発事故による放射性物質で汚染された県内の環境回復に向けて、研究開発や情報発信の拠点として持てる機能を十分に発揮してもらいたい。

 県が、三春町に整備を進めていた「県環境創造センター」は、交流棟「コミュタン福島」が開所。先行運用していた本館と研究棟、南相馬市の環境放射線センターなどと合わせて全面的に稼働した。

 環境創造センターに入居するのは、県、日本原子力研究開発機構(JAEA)、国立環境研究所の3機関。JAEAは原子力に関する総合的な研究機関、環境研究所は環境に関する中核的研究機関として実績がある。

 センターが果たす役割は、空間線量や放射性物質のモニタリングから、放射線計測や除染に関わる技術開発、環境に配慮した社会づくりの支援、関係情報の収集・発信など幅広い。

 本県の環境を放射線の影響から回復、再生することは復興の「一丁目一番地」だ。各機関は得意分野を生かし、連携・協力し合いながら「美しい福島」をよみがえらせるために全力を挙げてほしい。

 県内の環境回復を巡っては、政府が帰還困難区域を除いて本年度中の除染完了を目指して作業を進めているが、除染で出る土壌など廃棄物の総量は、最大約2200万立方メートル(東京ドーム約18個分)に上る見込みだ。

 環境研究所は、放射性セシウムと土砂を分離する技術の実証実験に取り組んでいる。実用化されれば土砂をセメント材などとして再利用することで、廃棄物の量を大幅に低減することができる。汚染土壌の減量と安全な再利用は、復興の鍵を握る技術であり、実用化を急いでもらいたい。

 一方で、センターで行われている調査研究は、放射性物質のモニタリングや生態系への影響調査など、中長期的に続けなければならないテーマが多い。環境回復を成すためには継続した活動が必要であり、長期にわたる要員や予算の確保が不可欠だ。

 コミュタン福島は、子どもたちが展示物を見たり体験したりすることで、放射線や環境について学ぶことができる施設だ。シアターの360度全球型スクリーンには復興の様子や四季の風景などを映し出す。第1原発の事故当時の精巧な模型や放射線の性質を学ぶことができるコーナーもある。

 環境創造センターで行う研究内容は全体として専門的で難しい。研究成果や開発した技術については、県民に分かりやすく、積極的に情報発信するよう求めたい。