【7月31日付社説】学校の耐震化/最優先で子どもの身を守れ

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 東日本大震災の被災地として、防災意識が問われる結果だと、深刻に捉えなければならない。

 文部科学省が発表した公立小中学校の耐震改修状況(4月1日現在)によると、県内の耐震化率は90.3%と、前年より5.4ポイント改善したが、全国では2年連続で下位から2番目の46位となった。

 県内の小中学校の耐震化は校舎など2038棟が対象で、17市町村の198棟の工事が終わっていない。このうち震度6強以上で倒壊する危険性が高い建物は55棟に上り全国最多だ。子どもたちの安全を確保するために耐震化を急がなければならない。

 県教委は、耐震化が遅れている要因について、市町村が震災と原発事故からの復旧、復興を優先させたため財源や人手が割けなかったことなどを挙げている。

 しかし、同じ被災県の耐震化率を見ると、宮城県は99.8%と全国6位で倒壊の危険性の高い建物はゼロ。岩手県は36位だが、倒壊の危険性の高い建物は4棟だけで本年度中に工事を終える。本県は原発事故という特殊要因を抱えるが改めて地震の怖さを想起し、耐震化に取り組む必要がある。

 耐震化を巡って県内では、統廃合が検討されている学校の整備を見合わせたり、老朽化した校舎の建て替えに合わせて耐震化しようとする市町村が多いことも対策遅れの要因になっている。耐震化が終了していない建物が全国5番目に多い61棟あった福島市は老朽校舎が多く、大規模改修を行うため時間がかかるとしている。

 政府は対策の遅れを受け、耐震整備費の国庫補助を増額する特別措置を2020年度まで5年間延長した。しかし、県内では20年度になっても40棟が耐震化を完了できない見通しだ。

 隣県である茨城県沖を震源とした地震が近頃頻発している。政府の地震調査委員会は、30年以内に70%の確率でマグニチュード6.9~7.6の大規模地震が同県沖で起きると予測している。地震が発生する懸念は同県沖だけではない。耐震化は喫緊の課題だということを認識する必要がある。

 熊本地震で大きな被害を受けた熊本県は耐震化率が99・8%で、耐震化が完了した学校では倒壊や崩壊の被害はなく、多くの学校が避難所として活用された。

 学校の耐震化は、子どもを守る目的はもちろん、災害時の避難所になることから、地域防災の観点からも重視されている。震災発生時に大勢の県民が学校施設に身を寄せて生活の拠点にしたことを忘れてはならない。