【8月2日付社説】溶融燃料の存在把握/成果生かし難関乗り越えよ

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 東京電力福島第1原発事故から5年余りを経て、ようやく見いだしたかすかな光明を確かなものにして、廃炉の最難関である溶け落ちた核燃料の取り出しを一日も早く実現したい。

 東電は、第1原発2号機の原子炉内部を、最先端技術を使って透視したところ、溶融燃料の大部分が圧力容器の底に残っているとみられると発表した。

 原発事故によって炉心溶融が起きた1~3号機で、溶融燃料の具体的な位置や推計量が把握できたのは初めて。来年6月までの取り出し方針の決定に向けて、重要な検討材料を得たことになる。

 調査は、宇宙から地球に降り注ぐ宇宙線から生じる「ミュー粒子」を利用した。分析映像には、圧力容器下部に高密度の物質が黒い影となって写り、本来燃料があった位置は物質が少ないため白っぽく写った。

 これらの結果から、溶けた燃料は炉心の中央を流れ落ち、炉内の構造物の金属などと混ざって圧力容器の底にたまったものと推定した。黒い影の大部分は溶融燃料とみられ、その量は160トン前後と推計される。

 今回、2号機で溶融燃料のある位置が分かったことで、溶融燃料の取り出しに向けて、工法を絞り込める可能性が出てきたことは一定の前進だといえる。

 しかし、この調査で把握できたのは大まかな位置にすぎない。取り出し工法を絞り込み、具体的な作業工程を検討するために、溶融燃料の分布状況など詳しい情報の収集を急がなければならない。

 廃炉工程表によると、政府と東電は2021年中に1~3号機のいずれかで溶融燃料の取り出しを始める計画となっている。

 その計画を進めるためには格納容器内を実際に調べる必要があるが、今回、溶融燃料の影を捉えた2号機は遠隔操作ロボットを投入する入り口の線量が高く、調査開始のめどが立っていない。既にロボットが入った1号機でも直接、溶融燃料を確かめることができていないなど前途は容易ではない。

 廃炉に向けては、調査と並行して、格納容器に水を張って取り出す場合の水漏れの補修方法や、水を張らない工法の検討のほか、高い放射線に耐えられる機材などの技術開発が続いている。

 30~40年かかるとされる廃炉を進めるためには、こうした格納容器内部の調査と技術開発の成果を最大限に生かすことが必要だ。国内外の知見と最新技術を結集しながら、立ちはだかる壁を乗り越えていかなければならない。