【8月3日付社説】国際研究産業都市/法制化し確実に構想実現を

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 浜通り地方15市町村を新産業の拠点とする「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」を確実に法制化し、東京電力福島第1原発事故からの復興を加速しなければならない。

 高木毅復興相が同構想を福島復興再生特別措置法に位置付けることを前向きに検討する考えを示した。

 原発事故で避難区域になった双葉郡では今も6万人以上が避難している。避難指示が昨年9月に解除された楢葉町では町内に生活拠点を置く帰還者(7月4日現在)は600人で全町民の8.1%にとどまる。

 産業の再生は住民が古里に戻るための基盤になる。政府は国家プロジェクトとして同構想の推進に全力を尽くすべきだ。

 同構想は、廃炉や災害対応ロボットの研究開発の拠点を整備し、関連分野の産業集積を図ることを中心に、浜通りの産業復興を実現する計画だ。同構想は、政府の骨太の方針や復興庁の復興基本方針に位置付けられているが、法制上の明確な位置付けがない。

 県は、経済産業省が主導している同構想を福島復興再生特措法に明記された事業として、省庁横断で重点的に推進する政府の体制整備を促したい考えだ。

 構想策定から2年が過ぎ、市町村や民間企業からは「事業を進める産学官の関係機関が構想全体の方針を共有して実現する必要がある」との指摘があるという。政府は構想に参加する国や県、大学、研究機関、企業が一体となって計画を進められる仕組みづくりも検討する必要がある。

 同構想の法制化を巡ってはこれまでも県や市町村が求めてきた。竹下亘前復興相も構想の法制化に理解を示したが、昨年5月に施行された改正福島復興再生特措法では、ロボットの研究開発が重点推進計画として条文化されるにとどまった。政府には構想全体の法制化を実現することが求められる。

 ロボットの研究拠点整備は構想の主要事業だが、一部にすぎない。ロボット開発や実証試験の拠点とするテストフィールドが南相馬市に整備されることが決まるなど、進み始めている。

 一方、複合災害記録・情報発信拠点(アーカイブ)施設や、廃炉、防災の人材育成を図る技術者研究拠点の整備などの事業は着手されていない。これらが進められなければ、浜通り全域に人のにぎわいを取り戻すことは難しい。

 構想全体の実現が浜通りの復興に欠かせないことを政府は肝に銘じなければならない。