【8月18日付社説】ふるさと納税/制度生かし応援団増やそう

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 生まれ故郷や応援したい自治体にお金を寄付すると税が軽減される「ふるさと納税」で、寄付した人に返礼品を贈っている県内の市町村は、全体の9割を超える54市町村(4月1日現在)に上っていることが県の調べで分かった。

 ふるさと納税を巡っては、高額な返礼品を用意した自治体に人気が集まる傾向がある。過剰な返礼品競争に陥ることなく、自治体支援という制度本来の趣旨が最大限に生かされるように自治体には工夫と努力を求めたい。

 ふるさと納税は、任意の都道府県や市町村に寄付すると、2000円の自己負担を除いた分が、自分の住む自治体の住民税から減額される仕組み。2008年度から始まり、15年度には控除枠を約2倍にするなど拡充された。

 県内では制度拡充を受けて、新たに返礼品を用意したり、充実させる市町村が増えた。返礼品はコメや野菜などの地元農産物、地酒や工芸品などの産品が多い。返礼品を通して地域の魅力を知ってもらうことが主な目的だ。

 県内で15年度、寄付が最も多かった湯川村は、3万円以上で地元産米60キロなどを贈っている。15年度は一般の税収を上回る寄付が集まった。本年度も3億円を超える申し込みがある。寄付額の8割程度がコメの購入費などの経費に使われる。ただ、村は市場価格より高く購入、農家に還元しているとして、ふるさと納税が貴重な財源になっていることを強調する。

 特産品を贈るだけでなく、地域への関心を高めてもらうことも重要だ。楢葉町は、寄付者に被災地を巡ってもらうガイド付きの応援ツアーを企画した。寄付額に応じて町内施設の日帰り入浴券や宿泊券を贈る。広野町は、作付けを再開した農家の栽培米を返礼品として贈っている。税収を増やすことが主眼となるふるさと納税を、震災復興などの重要政策と結び付ける視点も持ちたい。

 一方で、市町村の中には、返礼品の過剰な競争を避けるため、返礼品を伴わない仕組みづくりを求める声がある。寄付先を出身地に限定したり、過疎地域に寄付した場合に寄付者の控除枠を引き上げることなどだ。

 ふるさと納税は、自分が成長する過程でかけてもらった教育や福祉などの費用を寄付金の形で還元し、故郷に恩返しする仕組みとして始まった。自治体間で差がある収入を補い、地域の活性化につなげるという目的もある。今の制度は趣旨に則しているのか。国は、国民や自治体などから声を聴き、制度の改善に取り組むべきだ。