【8月20日付社説】韓国に残る風評/大使への批判はあたらない

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 韓国国内での本県に対する原発事故の風評が根強いことを改めて知らされた格好だ。正しい情報を粘り強く発信し、理解を得るよう努めなければならない。

 就任あいさつのため内堀雅雄知事を訪問した李俊揆・駐日韓国大使が、県産食品の風評払拭(ふっしょく)に前向きに取り組む姿勢を示したのに対して、韓国の公共放送KBSテレビは電子版で「韓国政府を代表する在外公館の長として不適切だとの批判が出ている」と伝えた。また最大野党「共に民主党」は「大使なのか福島県知事なのか区別がつかない」などと批判する声明を出した。

 李氏が県庁を訪ねたのは17日。会談を終えた李氏は記者団に「科学的な数値を含め福島県の正確な状況を本国の国民に伝えるのが私の仕事だ」と述べて、風評払拭に前向きに対応する考えを示した。

 さらに李氏は、韓国で風評が根強く残る現状を念頭に「このような状況が1日で改善されることは厳しい」との認識を示す一方、「韓国の国民が(福島を)直接見れば、徐々に改善していく」と指摘した。李氏の発言は大使として常識的な内容であり、韓国の国益を害するものではない。

 いまのところ韓国政府や与党セヌリ党は李氏の発言に反応していない。韓国では2017年末に行われる次期大統領選挙に向けて政争が激しくなりつつある。大使発言が野党による与党攻撃の具にされたのだとすれば、それこそ国益を損なうものではないか。

 大使発言に対する批判の背景はともかく、韓国内でいまだに本県産の食品についての正しい理解が得られていないことは明らかであり、そのための情報発信や活動が不十分であることの証左とも受け止められる。

 本県産の食品は放射性物質の検査が徹底されている。コメは全量全袋検査が行われ、県産の野菜や果実を含めて全て国の食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回っている。本県沖で漁獲された魚介類も15年度は全て基準値未満となっている。日本の食品基準値は欧米に比べても厳しいことなどを繰り返し訴えていかなければならない。

 理解を得られていないのは韓国だけではない。食品の輸入規制は事故後に比べて減ってきてはいるが、今なお31カ国・地域が規制を継続中なのが実情だ。

 本県産食品に対する誤解や偏見を解くために、県や関係団体が一層連携を強化するとともに、外交当事者である政府はこれまで以上に積極的に動く必要がある。