【8月25日付社説】官民合同チーム/事業再開へ持続的な支援を

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 東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た県内12市町村の事業者や農家の自立支援に取り組む「福島相双復興官民合同チーム」は発足から1年が過ぎた。

 事業者らの本格的な事業再開は本県復興に不可欠だ。合同チームは、事業者が抱える当面の課題や将来の経営見通しを的確に捉え、持続的な支援に取り組まなければならない。

 合同チームはこの1年で、支援対象とする事業者のほぼ半数に当たる約4100事業者を訪問した。このうち約200事業者に対し、企業経営の専門家を派遣して、事業再開への支援や販路拡大に向けた対策などに取り組んでいる。

 これまでに事業者からは「軌道に乗るまでの支援」などを求める声が上がっている。合同チームは専門家50人程度を増員して対応してきたが、組織体制は国や県、福島相双復興準備機構の寄り合い所帯の性格が強い。

 このため自民、公明両党は先日、合同チームを法律に位置付け、支援体制を強化することを政府に求めた。政府は早期に法制化を実現し、事業者の要望に応えられる組織体制を整えるべきだ。

 合同チームの資料によると、「顧客の回復と獲得」「従業員の確保」が事業再開後の課題に浮かび上がる。

 事業の再開には、古里に戻って生活する住民や、他市町村から移り住む人を増やすことが前提となる。その一方で働く場や買い物をする商店などの生活基盤が整わなければ住民帰還は進まない。

 浜通りでは、廃炉やロボット産業の集積を目指す福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想が進められている。合同チームは、同構想で進出した企業と、事業再開した地元企業との取引仲介に取り組み、雇用の創出につなげてほしい。
 相双地域では、事業を再開しても従業員が集まりにくい状況が続いている。合同チームは、人材サービス会社と連携して採用支援を行う。事業者や被災地の現状を正しく伝えながら、県内外からの人材確保に当たる必要がある。

 地元で営農を再開した農家の支援では、500軒以上の農家が訪問を望んでいる。技術指導だけでなく、風評払拭(ふっしょく)を踏まえた販売対策など手厚い支援が求められる。

 震災と原発事故から間もなく5年半となる。商工業者らの事業再開への意欲は時間経過とともに薄れる可能性がある。合同チームはスピード感を持って事業者支援に取り組み、本県経済の再生を着実に前に進めなければならない。