【8月26日付社説】県産品の風評対策/払拭へ新たな仕組み構築を

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 県産農林水産物の風評は、原発事故の発生から5年半がたとうとする今も残っている。政府はより効果的な対策を講じ、風評の払拭(ふっしょく)に力を尽くすべきだ。

 県や県内の生産者団体、自民党県連が食品の放射性物質検査の財源確保と、県産食品への風評対策の強化を求めたのに対し、山本有二農相は「風評被害をなくす努力は惜しまない」と前向きに取り組む考えを示した。

 県産食品の風評対策はこれまで全国キャラバンや被災地応援フェアなどによる安全性、おいしさの発信を重視してきた。しかし県産食品の多くは、価格や出荷量が震災前の水準まで回復していない現状にある。このため、販売拡大に目を向けた対策にも注力したい。

 県は、スーパーなどへの販路開拓や、県産食品を購入して得たポイントで特典を提供する制度の導入など、新たな対策を政府に提案している。県産品が常に消費者の目に留まり、手に取ってもらう仕組みをつくるのが狙いだ。

 消費者庁の2月の調査では、原発事故に伴い県産品の購入をためらう消費者が全国で約16%いた。県によると、県産食品が売れ残る可能性を懸念して、常設の売り場で県産食品を販売するスーパーなどが少ないのが現状だという。このことが県産食品への理解が進まない要因の一つと言える。

 消費者が県産食品を手に取る機会を増やすことは、消費者の購買意欲を高めることにつながるだろう。政府と県は流通の実態を分析しながら、早急に県産食品の取り扱いを再開する店舗などを増やす仕組みを整えたい。

 一方、コメの全量全袋検査と、それ以外の食品の放射性物質検査は、主に健康管理のための県の基金を活用して行ってきたが、財源は本年度末で底をつく見通しだ。

 検査の結果は、県産食品の安全性を証明する根拠であり、検査の継続は風評払拭に不可欠だ。政府は風評対策強化指針で検査実施への支援を掲げている。責任を持ち基金に代わる新たな財源の確保策を構築しなければならない。

 国は、生産段階の安全性や品質を第三者が認証する制度の取得を提唱している。県産食品の安全性を一層高めるためには認証を取得する農家を増やすことも必要だ。しかし手続きが煩雑な上、費用も高額で取得が進んでいない。費用の支援など取得を後押ししたい。

 県産食品の風評がなくなれば、観光や工業品などにも好影響を及ぼすはずだ。政府には、県や関係団体と一体となって風評払拭を成し遂げることが求められる。