【8月31日付社説】原発の溶融燃料/廃炉と処分は切り離せない

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 内堀雅雄知事と原発周辺の13市町村長は、世耕弘成経済産業相に対して、東京電力福島第1原発事故で溶け落ちた核燃料などの放射性廃棄物を県外で最終処分するよう求めた。

 溶融燃料などの県外処分は、県や原発周辺市町村の共通した考えだ。第1原発の廃炉は国の責任で進められており、溶融燃料などの処分にも国が責任を持つのは当然のことだ。廃炉と処分は切り離せない。国は処分方法の明示に向けて議論を始めるべきだ。

 国と東電の廃炉工程表では、溶融燃料の処分の方法については、燃料の取り出し開始後に決定するとされており、処分先などについては示されていない。

 溶融燃料の1~3号機からの取り出しについては、来年夏までに各号機の取り出し方法を決め、2021年中に取り出しを開始するとの目標が示されている。

 しかし高い放射線量や未知の部分が多い作業になるため、いまは原子炉内における溶融燃料の所在や量などを確認する作業が続けられている段階だ。

 溶融燃料の取り出しに向けては今後、原子炉内に投入する遠隔操作ロボットの開発などが必要で、工程表通りに作業が進むかどうかは見通せていない。溶融燃料などの処分方法をはっきりさせるためにも、国と東電は国内外の知見を結集して燃料取り出しを実現しなければならない。

 県や地元市町村は、除染で出た土壌を保管する中間貯蔵施設について、国が約束している「搬入後30年以内」での県外処分の確実な実施を求めている。溶融燃料の県外処分について県と市町村が一緒に要請したのは今回が初めてだ。

 県や市町村がこのような要請を行った背景には、7月に原子力損害賠償・廃炉等支援機構が公表した廃炉作業に関する新たな「戦略プラン」の中で、溶融燃料を取り出さずに原子炉建屋をコンクリートで覆う「石棺化」に言及したことがある。石棺化は、溶融燃料が第1原発内にとどめ置かれることを意味するため、地元の猛烈な反発を受けて同機構は削除した。

 政府が近く帰還困難区域の方向性を決めるタイミングでもあり、中長期的な復興の不安要素となり得る放射性物質の除去に関する基本方針を念押しする狙いもある。

 要請に対して世耕経産相は「国としては燃料デブリなどの処理、処分が適切になされるように対応していく」と答えた。国は震災と原発事故から2千日の節目を控えて行った知事や市町村長の要請を重く受け止めなければならない。