【9月1日付社説】イクボスの広がり/仕事も家庭も大切にしたい

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 「イクボス」という言葉を耳にするようになった。子育てや介護などをしている部下への理解が深く、自らも仕事と家庭の両立を実践する上司や経営者のことだ。

 長時間の労働を減らし、仕事とプライベートの両方を大切にする「ワーク・ライフ・バランス」を推進するには、上司や経営者が働き方に対する意識を変えることが大切だ。県内にイクボスを増やしていきたい。

 イクボスを育てようという取り組みが活発化している。子育てを支援するNPO法人ファザーリング・ジャパン東北は、イクボス企業のモデル的な取り組みを進める「ふくしまイクボス中小企業同盟」を年内にも結成する。

 当面は県内の中小企業3~5社が参加し、経営コンサルタントや県、福島労働局などのアドバイスを受けながら、各社で働き方を見直す。会議の時間や出席者を減らしたり、業務の無駄を削ったりして効率的な働き方を探る。同NPOは成果を公表し、県内の各企業でノウハウを共有する方針だ。企業が取り組みやすいようなモデルの構築に期待したい。

 県も、イクボスの推進を掲げている。内堀雅雄知事は昨年、自らがイクボスになると宣言。県職員が育児休業を取りやすい職場環境をつくるとともに、県内の企業にも働き掛けようという考えだ。

 そのため県は本年度から、経済団体などを対象にイクボス育成のための出前講座を始めた。企業がワーク・ライフ・バランスを考えるきっかけとなる事業だ。県はさまざまな業種の経営者らに対し積極的に参加を呼び掛けてほしい。

 昨年度、県内企業に勤める男性で育児休業を取ったのは3・9%だった。「イクメン」という言葉が知られるようになった割には、まだまだ少ない。県内の企業のほとんどが中小企業であり、社員1人当たりの役割が大きいため、簡単には休暇を取りにくいといった事情もあるかもしれない。

 しかし、上司が率先して残業を減らしたり、休暇を取ることで、部下も休みやすくなり、意欲や効率が向上して業績がアップしたケースもある。

 ワーク・ライフ・バランスは社員の福利厚生だけではなく、利益を生み出すための戦略として捉え、企業にはできることから取り組んでほしい。それは、女性の活躍推進にもつながる。

 共働きから独身まで、全ての社員がプライベートを充実させることは、仕事にも相乗効果を生むはずだ。国や県も後押しし、企業の働き方改革を進めたい。