【9月3日付社説】新エネ構想/先駆けの地へ大きな弾みに

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 再生可能エネルギーの導入拡大と関連産業の集積は、本県経済の再生の基盤になる。本県を再生エネの先駆けの地とするための大きな弾みにしたい。

 経済産業省が2017年度政府予算の概算要求に、本県で新エネルギー社会のモデル確立を目指す「福島新エネ社会構想」の関連事業費425億円を盛り込んだ。

 同構想は〈1〉再生エネ導入拡大〈2〉水素社会実現のモデル構築〈3〉スマートコミュニティーの創出を3本柱に事業を展開する予定で、政府は近く策定する。初年度から構想を円滑に進めるためにも、概算要求に盛り込んだ予算の確実な確保に取り組む必要がある。

 概算要求では、県の再生エネ導入促進支援事業費補助金に100億円を計上した。阿武隈山系、双葉郡沿岸部での風力発電や、避難指示が解除された地域での太陽光発電向けの送電網の設置、参入する発電事業者の設備投資費などを支援する。

 政府と県は、阿武隈山系と双葉郡沿岸部で、原発1基に相当する最大出力1225メガワットという国内最大級の風力発電基地の形成を目指している。しかし、阿武隈山系では送電網の整備が進んでおらず、風力発電に取り組む事業者参入の壁になっていた。

 送電網については、風力や太陽光など各種エネルギーで発電された電気を一つの電線で送る共同送電線を設置する計画だ。総延長は各発電所と富岡町の変電所を結ぶ約100キロを見込んでいる。

 風力発電などの導入拡大は、発電事業者など新エネ関連企業を集積だけでなく、被災地域の雇用創出にもつながるはずだ。発電事業者の設備投資の負担を減らし、県内での電源開発を促したい。

 また概算要求では水素社会の実現に向け、再生エネを活用して水素を製造し貯蔵、運搬する仕組みづくりに55億円が盛り込まれた。

 水素社会の実現は、今年3月に安倍晋三首相が本県を「水素エネルギーの一大生産地」にすると表明して取り組みが始まった。構想では県産水素について、20年の東京五輪・パラリンピックでの活用を目指している。本県復興を世界に発信するためにも着実に研究開発を前に進めなければならない。

 県は、東京電力福島第1原発事故を受けて、40年ごろをめどに県内エネルギー需要の100%を再生エネから生み出すとの目標を掲げている。福島新エネ社会構想はその実現を政府が後押しするためのものだ。政府は県、関連企業と一体となって取り組みを加速させていくべきだ。