【9月13日付社説】富岡に救急病院/「復興」と「帰還」支える拠点に

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 東京電力福島第1原発事故後、全ての救急病院が休止している双葉郡内への医療拠点の新設は復興加速への大きな後ろ盾となる。

 県は2018(平成30)年4月、手術や入院に24時間対応することができる2次救急病院として「県立ふたば医療センター」(仮称)を富岡町に開院させる。

 政府は原発事故に伴う避難指示について帰還困難区域を除き17年3月末までに解除する方針だ。救急医療体制の整備は復興を前進させるために欠かせない。着実に計画を進めるよう求めたい。

 救急救命医療機関は、地域医療において重要な役割を果たす施設として、都道府県が作る医療計画に基づき知事が指定する。患者の「重症度」に応じて、初期(第1次)、第2、第3次救急医療機関の3段階となっている。

 双葉郡には原発事故前、大熊、双葉、浪江、富岡の4町に1カ所ずつ2次救急医療機関があった。しかし現在は全てが休止中だ。

 このため郡内で急病人やけが人が出た場合は、いわき市や南相馬市に運ばなければならない状況にある。5月に42人が死傷した常磐道での交通事故では、郡内に救急病院がないため救急搬送に時間がかかった経緯がある。

 医療センターの建設地は、双葉郡のほぼ中央に位置し、第1原発と第2原発の中間地点にも当たる。常磐道や国道6号とのアクセスが良い。双葉郡全体の救急医療をカバーし、万が一の緊急被曝(ひばく)医療への対応も可能だとする。

 医療センターは24時間、365日対応で1次救急、2次救急の処置が中心で、外科と内科の疾病全般にも対応する。全日対応のため初期治療の向上も見込まれる。住民や復興事業従業員の病気予防や健康増進の支援なども行う。

 救急医療が整っているかどうかは、避難している住民が古里への帰還を考える上での大きな判断材料になる。企業が郡内に進出を決める上でも条件の一つとなることなどを銘記し、医療内容などを煮詰めていくことが必要だ。

 震災以降、相双地方を中心に医療人材不足が続いている。医療センターの整備にあたっては医師や看護師の確保が課題になる。

 医師は福島医大から派遣を受け、看護師や薬剤師などは県とJA県厚生連の職員を充てる計画。医師数は調整中だが医療スタッフは40人程度となる見通しだ。

 県が開設目標として掲げる18年4月まであと1年半に迫る。郡内の他の医療機関などとも連携し、帰還後の医療に対する住民の不安解消に努めてもらいたい。