【9月14日付社説】第2原発警報解除/原発事故の教訓忘れたのか

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 東京電力の危機意識が疑われる事態だ。福島第1原発事故の教訓をもう一度かみしめ、意識改革に取り組むべきだ。

 原子力規制委員会は、東電が福島第2原発の侵入検知器の警報を鳴らないように設定していたことが核物質防護規定の順守義務違反に当たるとして、同社を文書で厳重注意した。

 世界的に原発がテロの標的になる可能性があり、規制委が原発で働く作業員の身元を調べる制度の導入を決めるなど、国内原発のテロ対策を強化している。不審者の侵入に備える体制は強化することがあっても弱めるようなことがあってはならない。
 東電によると、第2原発の警備担当の社員が、頻繁に警報が鳴ることを煩わしく思い、近年は警備室で警報が鳴らないよう設定していた。検知器は伸びた草木などに反応していたとみられる。

 東電は警報音を解除しても検知器自体の作動状況は警備室の画面で確認していたと説明する。しかし規制委は「人の侵入を確実に確認できる状態にあるとは言えず、重大事案に発展する恐れがあった」と指摘し、同規定の行政指導で最も重い処分を課した。

 原発で万一事故が起きれば、その周辺に甚大な被害が及ぶ。それは第1原発での事故で身に染みて分かっているはずではなかったか。事故から5年半が過ぎたが、事故の記憶と教訓を風化させるようなことがあってはならない。

 警備担当の社員は検知器周辺の環境を改善するよう上司に当たる核物質防護管理者に求めたが応じなかったという。東電は組織として危機管理に対する意識が不足していたことを強く認識しなければならない。

 第2原発では、原子炉建屋内に今も約1万体の使用済み核燃料が保管されている。立地町の松本幸英楢葉町長が「核燃料を保管する施設の重大さを考えれば極めて遺憾だ」と厳しく批判し、県が東電に抗議したのは当然だ。

 東電は、第2原発の発電設備を活用して原子力部門の人材を育成する計画だ。11月にも新人研修などを始めるというが、研修の実施に当たっては危機管理や安全に対する文化を育むための体制についても再点検するよう求めたい。

 第1原発事故は東電の安全意識の欠如が招いた。東電は事故を教訓に、安全に対する意識改革に取り組んでいるというが、今回の事案は改革が不十分な現実を自らに突きつけた形だ。「安全文化」をどう築いていくのか。早急に道筋を示し実行に移すべきだ。