【9月27日付社説】所信表明演説/地方の未来を切り開けるか

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 未来に向けていま必要なのは政策の中身を検証し、今後の道筋を明確につけるための国会論戦だ。

 臨時国会が召集された。安倍晋三首相は今国会を「アベノミクス加速国会」と位置づけ、2016年度第2次補正予算案など事業規模で28兆円を超える経済対策で内需を下支えすると強調した。

 しかし第2次安倍政権の発足から約3年9カ月、アべノミクスはいまだに道半ばだという。低所得者への1万5千円の給付金や公共事業主体の補正予算が経済対策として効果があるのか。アベノミクスの内実をしっかり精査し、政策を検証する議論を求めたい。

 首相は演説で「未来」という言葉を随所に散りばめた。その一つが、「未来のエネルギー社会を開く『先駆けの地』として新しい産業の集積を一層促進していく」という本県復興に臨む決意だ。

 首相はさらに「中間貯蔵の建設、除染など住民の帰還に向けた環境整備、廃炉・汚染水対策を着実に進める」とも述べた。「未来への投資」を掲げて再始動を図るアベノミクス同様、復興の加速にも有言実行で取り組んでほしい。

 臨時国会で与野党対決の焦点となるのは環太平洋連携協定(TPP)承認案だ。首相は演説で「TPPの早期発効を大きなチャンス」として農林水産物の輸出増を目指すと述べたが、農家の高齢化など構造的な問題への解決策には触れなかった。「これからの成長の主役は地方」と言うのであれば、農業、そして地方の未来を開いていくための具体的な方策を明らかにしなければならない。

 憲法改正について首相は「(改憲)案を国民に提示する」のが「国会議員の責任だ」と述べ、与野党を超えて衆参両院の憲法審査会で議論を深めるよう求めた。改憲案の提示に言及したのは、「議論し、答えを出していく」と呼び掛けた1月の施政方針演説から踏み込んだものだ。

 天皇陛下の「生前退位」に関しては、先に設置した有識者会議で「国民的な理解の下に議論を深める」と表明した。天皇の地位は「国民の総意」に基づく。総意をどのように形成していくか。国会でも丁寧に議論したい。

 首相が語らなかったことも重要だ。関心が高い社会保障の具体的充実策などは示されなかった。

 野党にも注文したい。非正規雇用の待遇改善などは民進党などが取り組んできた課題だ。蓮舫民進党代表は「対案を示して戦っていく」と強調する。与野党ともに未来に向かって選択肢を国民に提示し論戦を尽くすべきだ。