【9月28日付社説】生活保護不正受給/安全網の維持へ監視強めよ

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 本当に保護を必要とする人にとって「最後の安全網」としての役割を果たすことができるよう生活保護の不正受給に対し監視の目を光らせなければならない。

 会津若松市議(55)が妻と共謀し、生活保護費約634万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いで会津若松署に逮捕された。

 同署によると、市議は2011年9月から14年2月にかけて、フィリピン国籍の妻に収入があることを知りながら市に届け出ず、生活保護費をだまし取った疑い。同署は妻の申請書を代筆するなど不正受給を主導したとみている。同署には事件の全容解明に全力を挙げてもらいたい。

 厚生労働省によると、14年度に全国で発覚した生活保護の不正受給は4万3021件で、金額は約175億円に上る。件数は過去最多だった前年度より減ったが、4万件を超える高水準が続く。本県は333件で金額は約1億2000万円だった。不正の内容は就労収入の未申告が5割弱を占め、次いで年金などの未申告が2割だった。

 不正受給の約9割は、自治体による調査や照会で発覚した。生活保護法が改正され、罰金が30万円から100万円に引き上げられたほか、申請時に資産や収入を記した書類の提出を義務付けるなど自治体の調査権限が拡大された。不正受給が減少した背景は、こうした不正対策の強化がある。

 しかし手続きの厳格化に対しては、日本弁護士連合会などから本当に生活保護を必要とする人が受給しにくくなるとの指摘がある。自治体には生活保護申請の入り口を狭めないよう、受給者の状況に応じた丁寧な対応が求められる。

 一方で、自治体の担当者からは「悪意があるのかどうか。全てを見極めるのは難しい」という声も上がる。福島市は家庭訪問を年1回行い、受給世帯の状況を確認しているが、不正の発見には限界があるという。不正受給を防ぐためには警察など関係機関との連携を強めることも必要だ。

 生活保護の受給世帯は14年度の場合、1カ月当たり161万2340世帯で過去最多になった。県内でも1万3079世帯に上る。高齢者世帯の増加とともに受給世帯も増えており、この傾向は今後も続く可能性がある。

 生活保護は、生活に困っている人に最低限の生活を保障する制度だ。不正受給事件が相次ぎ、本当に保護を必要とする人が救済されないようでは制度の存在自体が脅かされることになりかねない。安全網を守るために不正受給に歯止めをかけなければならない。