【10月2日付社説】いわき市制50周年/力合わせ新しい時代紡ごう

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 いわき市が市制施行から50周年の節目を迎えた。誕生から半世紀を経て、東日本大震災と原発事故からの復興や人口減少などの課題に直面しているが、市民が力を結集して乗り越え、新たな時代を紡いでいってほしい。

 同市は1966(昭和41)年、5市4町5村が合併して誕生した。面積は1232平方キロで、合併当時は国内にある市の中で最も広かった。99年に中核市になった。

 この間、基幹産業だった石炭産業や北洋サケ・マス漁業の衰退など多くの困難があったが、電気や化学の分野を中心にした工業都市への移行や、観光振興などを推進し、ピンチをチャンスに変えることで、市勢を伸展させてきた。

 現在の最大の課題は、震災からの復興だ。市沿岸部が津波の被害に遭い、多くの犠牲者が出た。市は災害公営住宅の整備や、津波被災地の土地区画整理事業、高台移転などに取り組む。住民が地元で安心して暮らせるための環境整備を着実に進めなければならない。

 市内には、いまも原発事故の影響で双葉郡などから約2万4000人が避難している。市民と避難者が日常生活のレベルで交流を進めて、理解を深め合いながら、共に地域を支えていくという意識を育んでいくことも大切だろう。

 市の人口は、98年のピーク時には約36万2000人だったが、2015年の国勢調査では約34万9000人にまで減少した。市はこのペースで減少が進むと、30年には約27万6000人、60年には約15万4000人になると推計している。

 このため市は、30年に約30万人、60年に約22万人の維持を目指す人口ビジョンを策定した。合計特殊出生率は14年時点の1.57から、20年までに1.71に引き上げる目標を掲げている。

 目標達成に向けては地域経済を活性化させ、若者の雇用を確保していくことが重要だ。市では震災後、蓄電池(バッテリー)関連産業の集積に向けた動きが活発化している。産官学が協力して研究を進め、新たな産業の拠点づくりを目指したい。

 基幹産業の一つである漁業は、いまも試験操業が続いている。本格操業に向け、漁場や対象魚種の拡大などの課題を一つ一つ解決していくことが大切だ。

 今年はJリーグ入りを目指すサッカーチーム「いわきFC」が発足した。市民に夢を与えるような活躍に期待したい。

 じゃんがらやフラダンスなど独自の文化も守り育てていきたい。市民が地域に誇りを持つことがまちづくりの原動力になるはずだ。