【10月8日付社説】水素生産の拠点/再生エネ100%への立役者に

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 本県を水素エネルギー活用の先駆けの地とする「福島新エネ社会構想」の実現への弾みにしたい。

 東芝と東北電力、液化石油ガス(LPG)大手の岩谷産業が、県内に世界最大級の水素工場を計画している。来年9月までに場所や規模などについて具体化させ、2020年東京五輪・パラリンピックまでの稼働を目指す。

 新エネ社会構想を巡っては、安倍晋三首相が3月の来県時に「福島県を水素エネルギーの一大生産地にする」との方針を表明、先月、構想が正式決定した。

 構想は、再生可能エネルギーの拡大、水素社会拡大の実現、スマートコミュニティーの創出の三つを柱にしており、水素工場の設置は構想推進の核でもある。水素の一大供給拠点としての稼働に向けて着実に作業を進めてほしい。

 工場では、年間で燃料電池自動車1万台分に相当する水素を製造できる装置を建設し、液体水素を県内外の水素ステーション向けに販売したり、電力の需給バランスの調整に利用したりする。

 東芝がプラントを製造し、東北電力が電気系統のシステムを整備、岩谷産業が貯蔵や輸送を担う。東芝によると、ドイツに6000キロワット規模の水素製造プラントがあるが、工場では最大1万キロワット級のプラントを想定している。

 工場の建設場所は、水素の運搬などを考慮し、津波や原発事故の影響が大きかった浜通りや、交通の利便性に優れる県中地域などを中心に検討が進むとみられる。建設場所になれば、周辺産業の活性化や雇用の創出など波及効果も期待できるだろう。

 水素は、利用する時に二酸化炭素を出さない環境にやさしいエネルギーとして脚光を浴びている。しかし現在は水素をつくる段階で石油を使うケースが多く、二酸化炭素(CO2)が発生している。

 計画される工場では、周辺に設置される太陽光や風力発電所でつくる電力を使うため、発電から製造、使用まで一貫してCO2を出さない「CO2フリー」の循環が実現できる。

 県は40年ごろをめどに、県内エネルギー需要の100%を再生可能エネルギーで賄うという目標を掲げている。CO2フリー水素はその目標達成に向けての立役者になる可能性がある。

 地球温暖化対策のための国際的枠組み「パリ協定」は11月にも発効が確実で、環境にやさしい水素への注目度も高まるだろう。本県が水素の生産から利用までのモデル県になることで、「新生ふくしま」を世界に強く発信したい。