【10月12日付社説】クマの目撃倍増/被害と遭遇避ける自衛策を

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 紅葉狩りや登山、キノコ採りなどで山に入る機会が増える秋は、クマが冬眠に向け、餌を求めて活発に動く時期でもある。人里でも出没が相次ぎ、目撃情報が増えている。警戒が必要だ。

 県内で今年1~9月に、県警に寄せられたクマの目撃情報は351件で、前年同期(178件)の約2倍になっている。

 目撃情報が最も多いのは福島市で82件(前年同期比32件増)。次いで猪苗代町44件(同24件増)、会津若松市36件(同20件増)、喜多方市31件(同20件増)となっている。昨年は目撃情報がなかった浪江町、葛尾村、相馬市でも合計5件あった。

 人的被害も3件4人発生している。今月に入ってからは、9日に下郷町の山林で、キノコ採りの男性がクマに襲われ、左腕などに軽いけがをする事案もあった。

 秋はクマの飽食期で食欲が増す時期だ。2010年以降の10月から12月までの3カ月間をみても、10年に3件、12年と13年に1件ずつの人的被害が発生している。クマとの遭遇や出没に、十分注意を払わなければならない。

 クマがこの時期に好んで食べるのは、ブナやミズナラなどの実(ドングリ)だが、県によると、県内のブナの実は今シーズン、凶作が予想されている。

 その一方で、昨年はブナの実が豊作だったことから、親グマが栄養を十分に取ったため、子グマが数多く生まれたという。より多くの餌を確保するために、人里に近づいてくる恐れが高まっていることを認識しておきたい。

 クマの出没や人的被害は県内だけでなく、全国で相次いでいる。このため環境省がクマ対策に関する一般向けとしては初めてのパンフレットを作成し、7日からホームページで公開を始めた。

 パンフレットでは、クマがいる可能性がある山に行くときには、クマ鈴やラジオなど音の出るものを携帯することなどに加え、遭遇した場合に備え、クマとの距離ごとに逃げ方を示した。クマの生息分布を説明するページでは、本県の中、浜通り地方にもクマの分布が広がっていることが分かる。

 県警は、クマと出合ってしまってからの対策ではなく、予防や抑止策が大切だとしている。

 クマを生活圏に近づけない方策としては、庭先にあるカキやクリの早期収穫、蜂の巣の除去、生ごみの厳重管理、夜間照明の設置などが考えられる。クマを引き寄せない環境づくりと早期発見が、人や農作物の被害を防ぐだけでなく、クマとの共存の道を開く。