【10月15日付社説】民生委員不足/なり手確保へ活動に理解を

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 高齢者や障害者を支援したり、子育てなど身近な相談に乗ったりする民生委員のなり手が不足している。安心して暮らすことができる地域社会を維持するためにも、活動への理解を県全体で深め、なり手を確保しなければならない。

 3年に1度の民生委員の全国一斉改選が12月1日に行われる。県全体の定数は4813人だが、県などによると100人ほど欠員が出る見通しになっている。前回改選時の充足率は98.4%だったが、今回は97%台になる計算だ。

 特に、東日本大震災で津波の被害に遭ったり、原発事故で住民が避難したりした沿岸部の市町村で、なり手が少なくなっている。南相馬市(定数159人)といわき市(同671人)は、それぞれ約20人の欠員が見込まれるという。広範囲に避難している住民の支援など、民生委員の負担が増えたことが背景にあるようだ。欠員をなくすため、行政には負担軽減への取り組みが求められる。

 民生委員は、市町村ごとに定数が決められている。町内会や自治会ごとに適任者を人選し、県や中核市が国に推薦する。地域の児童や妊産婦を支える児童委員も兼ねる。身分は非常勤特別職の地方公務員だが、無報酬だ。

 活動内容は高齢者世帯の見守りや、ひとり親家庭の支援、高齢者・児童虐待の防止、災害時の安否確認など幅広い。住民が抱える問題の解決に向け、福祉や行政など関係機関とのパイプ役も担う。

 民生委員の多くは、自治会長や前任者らの推薦で決まるが、住民の高齢化や、仕事に対する負担の心配などから、引き受け手が少なくなっているのが実情だ。地域の情勢に詳しく、福祉やボランティア活動に理解のある人材を掘り起こすためには、行政の積極的な協力が不可欠となっている。

 民生委員に欠員が出れば、他の委員の負担増加につながる。支援を求めている人たちへの対応が遅れることも懸念される。まずは欠員を出さないことが重要だが、業務を民生委員だけに任せきりにしない仕組み作りも必要だ。地域の社会福祉協議会や自治会、PTAなどが民生委員との連携をさらに強め、活動環境を充実させたい。

 県内の民生委員の平均年齢は60歳を超えている。若い世代が民生委員として活躍してもらうためには、働きに見合った報酬を支給するなど待遇改善も必要だろう。

 国はさらに、高齢者、児童、ひとり親世帯など対象ごとに委員の得意分野を担当してもらうといった柔軟な活動もできるよう制度の改正を検討すべきだ。